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戎崎の科学は一つ

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『科学はひとつ』掲載記事

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2014年11月24日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

放射線により励起されたCO2の還元反応

水中の二酸化炭素が2-10のpH範囲で、ガンマ線の照射下で、還元されることは1960年代に発見され報告されていた。この反応においては、水和電子が水中のCO2の主要な還元剤である。メタノール、CO、O2の他に、主要な最終生成物として、アルデヒド類、蟻酸、酢酸、グリコール酸、グリオキサール酸、蓚酸が作られる(Getoff 1994)。まず、水の放射分解によりeaq-、H、OH、H2、H2O2、H+、OH+が作られる。これらがCO2と反応してCO2+eaq-→C.O2-CO2+H→C.OOH or HCO…

2014年7月14日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

光化学酸化還元反応システムによる前生的な単純糖の形成

前生物的条件における活性化されたピリミジンリボヌクレオチドの合成反応には、酸素的化学反応と窒素的化学反応が混じっている(Powner 2009)。グリコールアルデヒドやグリセルアルデヒドなどの糖の構成要素が、一炭素分子の原料から同様な酸素・窒素混合化学反応系によって作られることが示せれば、RNAが生命の起源にかかわっているという仮説の証拠がより強くなる。Riston and Sutherland (2012)は、これらの糖が、シアン化水素から銅・シアン化物複合体の存在下で、紫外線照射によって作られる…

2014年6月5日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

電子放電によるシアン化水素の形成

Toupance et al.(1975)は、C-H-Nガスを低圧電子放電に数秒間晒し、その流出物を解析した。炭化水素(エチレン、アセチレン、メチルアセチレン)と窒素を含む化合物(シアン化水素、シアン、飽和ニトリル、アクリロニトリル、シアノアセチレン)が含まれていた。正極は、長さ10cm、直径20mmのチューブ、陰極は直径1mmのタングステンで構成した。反応炉の圧力は20トルとし、ガスを定常的に流した。ガスの放電滞在時間は約3秒だった。放電の電圧差は450-550Vで放電電流は100 mAだった。C…

2014年6月5日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

自然の原子炉が臨界に達する条件

自然環境下で核分裂連鎖反応が臨界になるためには、以下の条件が必要である(Gauthier-Lafaye et al. 1996)。1)臨界質量を超えるほどウランの濃度が高いこと2)ホウ素や希土類元素などの中性子捕獲原子核の存在比が小さいこと3)中性子の減速材として働く、軽元素(水の水素)が豊富にあること4)ウラン鉱物が核分裂可能核を多く含んでいること最後の条件は、ウラン鉱物の年齢と関係している。核分裂をしない238Uの半減期(44.68億年)は、核分裂を起こす235Uの半減期(7.038億年)よりも…

2014年6月4日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

窒素とエチレンの混合ガスへのガンマ線照射によるシアン化水素合成

Oka et al. (1968)はエチレン(C2H4)と窒素(N2)のガス混合物に60Coからのガンマ線を照射するとシアン化水素(HCN)が形成されることを見出した。そのG値(エネルギー100keV当たりの分子生成数)は、照射時間により0.1-0.5だった。G値が、窒素ガスの分圧に依存しなかったことは、窒素原子か窒素原子イオンがHCN分子形成に関与していることを示している。OKA, T et al. 1968, Hydrogen Cyanide Formation in the Gas-phase…

2014年5月23日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 福島第一原子力発電所事故

オクロ・オケロボンド地域の自然原子炉の周期的な動作:Cycling Operation of the Natural Nuclear Reactor in Oklo/Okebondo Area

20億年前のオクロの自然原子炉から抽出された元素の同位体比から調べると、235Uと239Puの核分裂と中性子捕獲反応の証拠が得られた。有効中性子フラックス(10^21 n/cm^2以下)、消費されたウラン量(5トン以上)、放出されたエネルギー(15GW yr)などが推定されている。また、半減期が24000年の239Puを使って、核分裂反応の実効継続時間が約150000年であることが導かれる。平均出力は100 kW程度と見積もられる。したがって、この原子炉は爆発することなく長期にわたって安定に動作して…

2014年5月22日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

自然原子炉における生命誕生

冥王代において、放射性のアクチノイド(トリウム、ウラン、プルトニウム)に富んだ砂鉱床が集積した砂浜環境で生命が誕生した証拠が増えている(Adam 2007)。43億年前の砂浜鉱床にウラナイトが重量で数パーセント含まれていれば、核分裂反応が継続的に発生する可能性があることが分かった。実際、アフリカ、ガボン共和国のオクロには、自然原子炉の化石が存在している。そこでは、約24-19億年前に核分裂反応が臨界に達し、定常的にエネルギーを発生していたことが確認されている(Naudet 1991; Petrov …

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著者プロフィール

戎崎 俊一(えびすざき・としかず)
1958年山口県生まれ。大阪大学理学部物理学科を卒業後、東京大学理学系研究科天文学専攻に進学。NASA研究員、神戸大学助手、東京大学助手、同助教授を経て、1995年から理化学研究所主任研究員、2024年より同研究所客員主管研究員。天体物理学と計算科学を中心にそれらを含んだ学際研究に取り組み、分裂しすぎた諸科学の再統合を志向している。著者に『ゼミナール宇宙科学』(東京大学出版会)、訳書に『銀河の世界』(エドウィン・ハッブル著、岩波書店)、『時間・空間・重力 相対論的世界への旅』(ジョン・アーチボルト・フィーラー著、東京化学同人)、『宇宙創世記 ビッグバン・ゆらぎ・暗黒物質』(ジョセフ・シルク著、東京化学同人)、『科学はひとつ』(学而図書)などがある。『科学はひとつ』は、「戎崎の科学は一つ」の記事を抜粋し、書下ろしの解説を加えて作られた。

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