コンテンツへスキップ ナビゲーションに移動

戎崎の科学は一つ

  • ホーム
  • 著者プロフィール
  • 学而図書

生命の起源

  1. HOME
  2. 生命の起源
2017年12月26日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

原初的生命を育んだ「ゆりかご」としての自然原子炉

 地球化学者、黒田和夫が地球に自然原子炉が存在する可能性があると予言したのは1956年のことだった。それから16年たった72年に中央アフリカのガボン共和国オクロで、約20億年前に活動していた自然原子炉の化石が発見された。高品位のウラン鉱床の一部に、核分裂するウラン235の濃度が特異的に少なく、核分裂生成物が存在する場所が発見されたのである。 その解析から、連鎖反応が30分維持され、2時間半ほど休止することを繰り返す活動を15万年ほど続けたらしい。同様の自然原子炉跡がその近くに16カ所見つかっている。…

2017年3月17日 / 最終更新日時 : 2023年4月29日 戎崎 俊一 生命の起源

リボフラビン生合成経路:Biosynthesis pathway for riboflavin

リボフラビンの生合成経路は図1にまとめられているように、1分子のGTPと二分子のリボース5リン酸から始まる(Fischer and Bacher 2005)。GTPシクロヒドロラーゼIIが、アミダゾール環からギ酸、GTP(1)の側鎖から二リン酸を放出して、2,5-ジアミノ-6-リボシルアミノ-4(3H)-ピリミジノーネ5′-リン酸(2)を生成する。2位のアミノ基の水分解性放出とリボース側鎖の還元、そしてリン酸の脱離により5-アミノ-6-リビチルアミノ-2,4(1H,3H)-ピリミジンジオーネ(3)を…

2017年3月17日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

初期進化における核酸様補酵素の役割

すべてのリボヌクレオチドもしくはヌクレオシド二/三リン酸は補酵素として、そしてアミノアシル基、リン酸基、グリコシル基、リン脂質前駆体のキャリアとして様々な代謝反応に関与している。Kritsky and Telegina 2004は、ヌクレオチドに似ているが少し違う化合物が補酵素として様々な代謝経路で働いていることを指摘している。それらは、ヌクレオチドと同様に、正に帯電した複素環を持つ「頭」、中性の首、さらに負に帯電した尾が結合した構造をしていることを指摘している(図1)。これらには、フラビンモノヌク…

2017年3月11日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 生命の起源

カロテノイド合成経路におけるリコペンシクラーゼの進化: Evolution of Licopene cyclase in the carotenoid synthesis pathway

微生物のロドプシンは、膜貫通型のαヘリックスを7つもつオプシンと光感受性のある補因子レチナールの共有結合により作られている。古細菌において、ロドプシンは光で能動駆動されるイオン輸送機構および走行性のセンサーとして働いている。好塩古細菌の一種であるHalobacterium salinarumは、一連のイソプレノイド重合反応で作られるゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)を二つ結合してファイトエンとし、さらに不飽和化反応でリコペンを得る。リコペンの両端を環化してβ-カロテンとなり、それを二分してレチナー…

2017年2月27日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 生命の起源

膜結合型[NiFe]ヒドロゲナーゼの起源と進化:Origin and Evolution of Membrane-bound [NiFe] hydrogenase (MBH)

電子伝達系の複合体I、もしくはNADHキノン酸化還元酵素(Nuo)は、現生生物の呼吸鎖の一部をなしており、嫌気性微生物のエネルギー保持[NiFe]ヒドロゲナーゼと密接な進化上の関係を持っている(fig 1)。すべての生物の中で、複合体Iのキノン結合サブユニットNuoDは、膜結合ヒドロゲナーゼ(MBH)の中のH2放出[NiFe]含有触媒サブユニットMbhLと最も近い関係にある。MBHは電子供与体としてフェロドキシン(Fd)を、NuoはFdもしくはNADHを用いる。Schut et al. 2016によ…

2017年2月25日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 生命の起源

単純なエネルギー生産反応:輸送と結合した陽子の還元:A simple energy conserving system: Proton reduction coupled to proton translocation

生物は、酸化的リン酸化反応を使って、一連の膜結合電子伝達複合体で陽子駆動力を作り出し、ATPを合成する。そのとき最終的には外部の最終電子受容体を還元する必要がある。Sapra et al. 2003は、100℃の環境が最適に生育する古細菌Pyrococcus furiosusは、それとは少し違った呼吸系を持つことを発見した。それは、膜結合ヒドロゲナーゼ一つのみで構成されている。この酵素は、細胞質性の酸化還元タンパク質フェロドキシンから電子を陽子に渡し、水素ガスを作ると同時に陽子を細胞外に輸送する。こ…

2017年1月29日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

生命起源の原子炉間欠泉モデル

ミラー・ユリーの実験(Miller and Urey 1959)以来、多くの化学進化実験が行われた。Ebisuzaki and Maruyama (2016)は、冥王代の地球表層にはたくさんあったはずの自然原子炉が生命構成分子を豊富に安定に供給する生命誕生の環境を作ったとと考えている。1972年に自然原子炉の化石がアフリカのガボン共和国オクロで発見されている。それは、水を減速材として用いる核分裂原子炉であった。水が浸入して核分裂連鎖反応が臨界に達し、それによる熱の発生により水が蒸発してなくなると連鎖…

投稿のページ送り

  • 固定ページ 1
  • 固定ページ 2
  • …
  • 固定ページ 8
  • »

著者プロフィール

戎崎 俊一(えびすざき・としかず)
1958年山口県生まれ。大阪大学理学部物理学科を卒業後、東京大学理学系研究科天文学専攻に進学。NASA研究員、神戸大学助手、東京大学助手、同助教授を経て、1995年から理化学研究所主任研究員、2024年より同研究所客員主管研究員。天体物理学と計算科学を中心にそれらを含んだ学際研究に取り組み、分裂しすぎた諸科学の再統合を志向している。著者に『ゼミナール宇宙科学』(東京大学出版会)、訳書に『銀河の世界』(エドウィン・ハッブル著、岩波書店)、『時間・空間・重力 相対論的世界への旅』(ジョン・アーチボルト・フィーラー著、東京化学同人)、『宇宙創世記 ビッグバン・ゆらぎ・暗黒物質』(ジョセフ・シルク著、東京化学同人)、『科学はひとつ』(学而図書)などがある。『科学はひとつ』は、「戎崎の科学は一つ」の記事を抜粋し、書下ろしの解説を加えて作られた。

検索

最近の投稿

  • 映画「小学校~それは小さな社会~」を見ました2025年5月19日
  • 映画「狂武蔵(くるいむさし)」を見た 2025年4月29日
  • 能登半島の地震活動と流体上昇2025年4月17日

カテゴリー

月別アーカイブ

  • ホーム
  • 著者プロフィール
  • プライバシーポリシー
  • 著作権
  • 免責事項
  • 学而図書

Copyright © 戎崎の科学は一つ All Rights Reserved.

Powered by WordPress with Lightning Theme & VK All in One Expansion Unit

MENU
  • ホーム
  • 著者プロフィール
  • 学而図書
PAGE TOP