オクロ・オケロボンド地域の自然原子炉の周期的な動作:Cycling Operation of the Natural Nuclear Reactor in Oklo/Okebondo Area
20億年前のオクロの自然原子炉から抽出された元素の同位体比から調べると、235Uと239Puの核分裂と中性子捕獲反応の証拠が得られた。有効中性子フラックス(10^21 n/cm^2以下)、消費されたウラン量(5トン以上)、放出されたエネルギー(15GW yr)などが推定されている。また、半減期が24000年の239Puを使って、核分裂反応の実効継続時間が約150000年であることが導かれる。平均出力は100 kW程度と見積もられる。したがって、この原子炉は爆発することなく長期にわたって安定に動作していたことになる。つまり、何らかの自己調節機構を持っていなければならない。
Meshik et al. 2004は、アルミニウムヒドロキシ燐酸の中の希ガスの同位体比を調べた。核分裂由来のXeとKrの濃度が高いことがわかった。その特異なキセノンの同位体比を説明するには、原子炉が、2.5時間の休止期間と30分のパルス的に活動期間からなる周期で間歇的に動作していと考える必要があることが分かった。このような間歇的活動は、中性子を減速する水が高温になって蒸発するため、核分裂の連鎖反応が水が戻ってくるまで停止するという自己制御機構で説明できる。
Meshik, A.P. 2004, Record of Cycling Operation of the Natural Nuclear Reactor in the Oklo/Okelobondo Area in Gabon, Physical Review Letters, 93, 182302-1-4