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戎崎の科学は一つ

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気候変動

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2023年3月21日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動

海上低層雲による気候変動緩衝

戎崎(戎崎2023)は、地球の気候が海上低層雲の雲アルベド効果による緩衝により強く安定化されていることを明らかにした。海上低層雲は、海水面温度が低い大陸西岸沖の海洋上にできる表面境界層(雲冠表面境界層)の上部を覆って広がっている。低層雲の存在は、その可視光に対する高いアルベドと、赤外線領域における強い放射冷却で、地球の熱収支を冷却側に強く傾ける。左図に示すように、温室効果ガスの濃度の増加に伴う温暖化は、対流圏・成層圏界面に始まって次第に地上(海上)に波及するが、その過程で低層雲の雲頂に存在する気温逆…

2022年10月18日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動

日本への水田稲作の伝搬: 環東シナ海文化圏仮説

日本人は、温暖湿潤な日本列島に居住し、代々水田で稲を作って暮らしてきた。その影響は、日本人の生活と文化に深く根差している。水田稲作自身は約10000年前ごろ、中国の長江流域で始まった。従来,水田稲作の伝搬経路に関しては、長江流域で始まった水田稲作が北上して山東半島まで到達し、その後遼東半島,韓半島を経由して日本に到達したという仮説(宮川2017;以後宮川説と呼ぶ)が有力とされてきた。しかし、1) 弥生時代の開始時期が500年早まった、2) 4.2kyrイベントによる寒冷化で水田稲作の北限が南下した、…

2020年4月3日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動

改めて玄米備蓄のすすめ 危機に備え、緊急経済対策で増進を

 2015年6月にこのコラムで「玄米備蓄のすすめ」という記事を書かせていただいた。その趣旨は、突然の火山噴火などの天災により穀物が全球的に数年連続して不作になる可能性があり、それに備えて2、3年分の食糧備蓄が必要なこと、保全性に優れた真空パック玄米がそれに最適であることだった。(戎崎俊一) あれから5年たち、不幸にしてこの件を思い出す必要が出てきた。新型コロナウイルスの感染爆発により、世界が大混乱に陥っている。このウイルスは直接には食物の生育に影響を与えないだろうが、安心は禁物である。医療崩壊が進ん…

2018年2月23日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動

太陽活動の弱化がもたらす天候不順と政変・戦乱の時代

 太陽の磁気活動は、約11年の周期で増減している。その振幅は常に変動している。例えば1645~1715年はほとんど黒点が観測されなかったので、マウンダー極小期と呼ばれている。そのほかにも1280~1340年のウォルフ極小期、1450~1570年のシュペーラー極小期、1790~1820年のダルトン極小期などが知られている。 1870年ごろから1930年にかけては極小期ほどではないが、太陽活動があまり活発でなかった。しかし、1940年ごろから2000年にかけて非常に活発化した。その後急速に弱化して今に至…

2016年3月21日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動

白亜紀末の寒冷化と暗黒星雲遭遇による大絶滅

Nimura et al. (2016)は、深海底コアのサイト886Cの遠洋堆積物の中に、イリジウム濃度が異常に高い層が5m連続的に分布していることを発見した。そのイリジウム以上層の最上層近くに、チュチュルブ小惑星衝突に関係するK-Pg(中世代―新生代)境界のイリジウム濃度スパイクがある。この幅の広いイリジウム濃度の異常は、地球表面起源のいかなる成分の混合でも説明できない。一方で、太陽系が100pcに及びその中心濃度が2000個陽子/cm^3に達する巨大分子雲に遭遇したと考えるとうまく説明できる。K…

2015年7月2日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動

火山噴火が引き起こす大飢饉、玄米備蓄のすすめ

 わが家では、有事に備えて玄米を備蓄している。そのきっかけは、火山噴火だった。2010年の春(3月から4月)にアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山が噴火した。欧州の主要空港が閉鎖され、多くの観光客が足止めを食ったので覚えている方も多いだろう。このとき、私が思い出したのは1782年から88年にかけて起こった天明の大飢饉(ききん)である。日本の近世では最大の飢饉だったといわれている。天明の飢饉も、同じアイスランドのラキ火山とそれに引き続くグリムスヴォトン火山の1783年から85年にかけての噴火が…

2014年2月21日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動

星雲の冬

超新星残骸や暗黒星雲などの星雲との遭遇は、負の放射強制力による寒冷化、宇宙線フラックス増加によるオゾン層破壊を通して、地球の表層環境の破局をもたらす。その結果の基礎生産量の減少が、酸素濃度の減少と食糧の不足、そして海洋無酸素事変を通して大絶滅を引き起こす。この「星雲の冬」モデルは、超新星残骸遭遇による千年から1万年の変動、暗黒星雲遭遇による10万年から1千万年の変動、そして銀河全体のスターバーストによる1億年スケールの階層的な変動を予言している。この「星雲の冬」モデルは後期原生代(エディアカラ期を含…

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著者プロフィール

戎崎 俊一(えびすざき・としかず)
1958年山口県生まれ。大阪大学理学部物理学科を卒業後、東京大学理学系研究科天文学専攻に進学。NASA研究員、神戸大学助手、東京大学助手、同助教授を経て、1995年から理化学研究所主任研究員、2024年より同研究所客員主管研究員。天体物理学と計算科学を中心にそれらを含んだ学際研究に取り組み、分裂しすぎた諸科学の再統合を志向している。著者に『ゼミナール宇宙科学』(東京大学出版会)、訳書に『銀河の世界』(エドウィン・ハッブル著、岩波書店)、『時間・空間・重力 相対論的世界への旅』(ジョン・アーチボルト・フィーラー著、東京化学同人)、『宇宙創世記 ビッグバン・ゆらぎ・暗黒物質』(ジョセフ・シルク著、東京化学同人)、『科学はひとつ』(学而図書)などがある。『科学はひとつ』は、「戎崎の科学は一つ」の記事を抜粋し、書下ろしの解説を加えて作られた。

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