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戎崎の科学は一つ

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種の起源と生物進化

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2017年6月28日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

かんきつ類とアゲハ類の盛衰 垣間見た生物の共進化が愉快

 私は、山口県下関市の彦島で生まれ、高校卒業までこの島で育った。本州と九州を分ける関門海峡に本州側から突き出た小さな島だ。この辺りは温暖でかんきつ類の生育に適しており、それを食草とするアゲハ類が昔も今もたくさん飛んでいる。昆虫少年だった小学校以来約50年間アゲハ類の盛衰を見てきた。 小学校の頃、この辺のアゲハ類は、カラスアゲハ、アゲハ、モンキアゲハの3種がほとんどだった。図鑑によると、カラスアゲハは野生かんきつ種(カラスサンショウなど)を好むとある。一方、アゲハとモンキアゲハは栽培種(ミカンやハッサ…

2016年4月7日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

新規遺伝子の出現に関する「出精巣」仮説: The “out of testis” hypothesis for the emergence of new genes

新規遺伝子の出現に関する「出精巣」仮説(Kessmann 2010)は、新しい遺伝子や遺伝子構造の転写は、精巣の生殖細胞、減数分裂をする精母細胞と減数分裂後の精細胞で促進されると考える。一度、転写されると、新規の有効な機能をもつ遺伝子は選択的に保存され、より効率的なものへと進化する。最終的には、このような新規の遺伝子はより広い発現パターンを持つ、すなわち精巣以外の組織でも機能を獲得する。精母細胞と精細胞は、精子形成が進む輸精細管の中に見られる。これらの細胞の中では、クロマチン構造が全体に緩んでいるた…

2016年4月2日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

染色体における二回の遺伝子獲得バーストと、それに伴う哺乳類進化におけるオス偏向遺伝子の染色体間での再分配 Chromosomal Redistribution of Male-Biased Genes in Mammalian Evolution with Two Bursts of Gene Gain on the X Chromosome

Zhang et al. 2010は、ヒトとマウスの持つ、個々のタンパク質をコードした遺伝子とマイクロRNA遺伝子の獲得年代を脊椎動物の系統樹解析により決定した。その結果、X染色体の獲得遺伝子数が、二つのピークを示すことをあきからにした。一回目のピークは、1.3億年から0.9億年にかけての真獣族と有袋族の分岐の後(分岐5,6,7)にある。これは、真獣族にX染色体が出現し、性に関連した機能の進化の加速に伴って、多くの遺伝子が獲得されたという仮説に一致する。二回目のピークは0.5億年以内のできごとで、霊…

2016年3月29日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

新規遺伝子の出現率:Emergence rate of founder genes

生物はもともとある遺伝子を元にして、その重複と再構成で新しい遺伝子を作ってきたと考えられてきた。ところが最近になって、元になっている遺伝子が見つからない「孤児」遺伝子がたくさん存在することが分かってきた。それらは、重複や再構成から始まったが原型がわからないほど変化してしまった遺伝子か、ゲノムの非翻訳領域からコピーされて、何らかの理由で調節機構を獲得し新たに遺伝子になったものらしい。後者はこれまであまり多くないと考えられてきたが、最近になってこの遺伝子獲得機構が生物進化に重要な役割を果たしていることが…

2016年3月7日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

ストレスを受けた植物の世代をまたいだレトロ転移をsiRNAが妨げている

真核生物のゲノムは、かなりの割合をレトロトランスポゾンで占められている。ただし、その活動は宿主のエピゲノム機構で制御され、不必要な場合は抑制されている。しかし、この抑制機構の詳細はわかっていない。Ito et al. 2011は、熱ストレスをかけたArabidopsisの実生苗において、ONSENという名前を付けたレトロポゾンの転写が活性化し、染色体外DNAコピーとして、細胞内に存在することを示した。小型干渉性RNA (siRNA)遺伝子が発現しないような変異株の場合、転写産物量と、染色体外コピー数…

2015年8月27日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

ウナギ幼生の比重:Specific gravity of eel larvae

図1:ウナギのレプトケファルスの体表全体に分布する塩類細胞ウナギの幼生(レプトケファルス)の比重は1.019-1.025であり、比重が1.023-1.024(22度―26度)の海水に対して浮力を持っている。これは海生生物で最も低い値である(Tsukamoto et al. 2009)。ウナギのレプトケファルスの体表全体に、塩類細胞が分布して、体内からNa+とCl-などの塩類を排出し、体内の浸透圧を低く保っている(図1; Sasai et al. 1998)。ウナギの20-40mmサイズのレプトケファ…

2015年8月26日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

硬骨魚類の海水適応ホルモンを探る:Exploring novel hormones essential for seawater adaptation in teleost fish

海生の魚類は高い浸透圧を持つ海水の中で脱水してしまうが、腸で吸収された過剰なイオン、特にNa+とCl-を排泄する能力を持っていれば、周りの海水を飲んでバランスを保つことができる。このような耐塩性機構には、ホルモンが重要な役割を果たしている。比較ゲノム学の研究から、硬骨魚類で、Na+を放出し、血管降圧性の性質を持つホルモンが多様に発達していることが分かってきた(Takei et al. 2008)。これらのホルモンは、硬骨魚類の海水での生存と水中における低い動脈圧の維持に重要である。海生のメクラウナギ…

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著者プロフィール

戎崎 俊一(えびすざき・としかず)
1958年山口県生まれ。大阪大学理学部物理学科を卒業後、東京大学理学系研究科天文学専攻に進学。NASA研究員、神戸大学助手、東京大学助手、同助教授を経て、1995年から理化学研究所主任研究員、2024年より同研究所客員主管研究員。天体物理学と計算科学を中心にそれらを含んだ学際研究に取り組み、分裂しすぎた諸科学の再統合を志向している。著者に『ゼミナール宇宙科学』(東京大学出版会)、訳書に『銀河の世界』(エドウィン・ハッブル著、岩波書店)、『時間・空間・重力 相対論的世界への旅』(ジョン・アーチボルト・フィーラー著、東京化学同人)、『宇宙創世記 ビッグバン・ゆらぎ・暗黒物質』(ジョセフ・シルク著、東京化学同人)、『科学はひとつ』(学而図書)などがある。『科学はひとつ』は、「戎崎の科学は一つ」の記事を抜粋し、書下ろしの解説を加えて作られた。

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