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戎崎の科学は一つ

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2011年12月13日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

細胞内輸送システムと真核生物の共通祖先: Intracellular Transportation System and Last Common Eukaryote Ancestor

図1:モータータンパクは核酸スイッチに起源をもちGタンパクと同根である(Vale R.D. and Milligan R.A. 2000, Science, 288, 88-95)Erickson et al. 2007にしたがって、細胞内輸送システムに関連する遺伝子の進化について議論する。真核生物の細胞内輸送は、レール繊維とその上を動くモーターで成り立っている。レール繊維は、主にチューブリンとアクチンが使われている。前者は細胞分裂に、後者はその他の細胞内物質輸送に使われている。モーター分子は、いろ…

2011年12月10日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

内骨格の起源: Origin of endoskeleton

骨芽細胞を含む燐酸カルシウム生物鉱化に関与する細胞は、体表起源だと思われる。生物鉱化は、まずシアノバクテリアで重炭酸イオン(HCO3-)を光合成に利用するために発達したと考えられる(Arp et al. 2001; Jasson and Northen 2010)。水中では、二酸化炭素溶存量が多くないので、水中光合成生物には、より豊富な重炭酸イオンを炭素源として利用したいという要求が常に存在する。そこで、シアノバクテリアは、以下のような炭素濃縮機構が発達した。まず、重炭酸イオン一個を体内吸収して、体…

2011年12月10日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

海の透明化による外骨格とカメラ眼の発明

1)動物の発達による海洋透明化エディアカラ期に至って、有機物をこしとる動物が発生。糞粒および死体による海洋の表面、海底への有機物流量増加。海洋表面の大きな体積(数メートルから数十メートル)が可視・紫外光に対して初めて透明になった。同時に底に落ちてくる有機物を食料にするスカベンジャー生態系が海底に発達。脊索動物の祖先は、その中で生まれて生活していた。2)海洋透明化により日よけとしての外骨格の発達海洋表面近くでは、藻類の光合成により酸素に富み(マクロガイア成立)動物の大型化が可能になった。日の当たる暮ら…

2011年12月10日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

眼および感覚器の起源: orgins of eye and sensors

箱クラゲ類の一種であるTripedalia cysyophra簡単な眼点のほかに大小のカメラ型の眼を持っており、軟体動物型と脊椎動物型の両方の眼を持っているので、眼の起源の研究に好適である。この箱クラゲは、PAX族に属する遺伝子を一つPAXBだけ持っており、眼と平衡嚢において発現していることが分かった。また、PAXBはPAX2/5/8に似た対構造とPAX6に似たDNA結合ドメインを持っている。PAX2/5/8は多くの動物で機械(姿勢・聴覚)感覚器に発現している。PAX6は、動物の眼を誘導することがわ…

2011年12月10日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

生物石灰化の起源と遺伝子の水平移動: Origin of Bio-calcification and horizontal gene transfer

古生代、中生代に重要な造岩生物であった stromatoporid spongeの生き残りであるAstrosclea Willeyanaを調べた。彼らは、生体内寄生させた細菌の助けを借りて石灰岩を作る。石灰岩の結晶を作るときに、まず退化した細菌を使って結晶の種を作らせ、その周りにカルシウムを運んで成長させる。進化の過程で寄生細菌の遺伝子が収奪され最終的には、細菌なしで炭酸カルシウムの結晶を作るようになったと思われる。このような過程で複数回生物石灰化に関する遺伝子の水平移動が起こったと考えられる。Ja…

2011年12月9日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

海綿動物の炭酸カルシウム鉱化:Calcification of Sponge

海綿動物は古生代中生代の重要な造礁生物であり、骨を作る遺伝子セットを獲得した最初の多細胞生物と考えられている。Jackson et al. 2007は、Astrosclea Willeyana(stromatoporid spongeの生き残り)において、炭酸カルシウム鉱化で働いている酵素を分離してAstrsclerin-1, -2, -3を得た。これらは炭酸カルシウム鉱化の中で重要な働きをしているα-carbonic anhydrase(炭酸脱水素酵素)とよく似た配列を持ち、同じ遺伝子族に属すると…

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著者プロフィール

戎崎 俊一(えびすざき・としかず)
1958年山口県生まれ。大阪大学理学部物理学科を卒業後、東京大学理学系研究科天文学専攻に進学。NASA研究員、神戸大学助手、東京大学助手、同助教授を経て、1995年から理化学研究所主任研究員、2024年より同研究所客員主管研究員。天体物理学と計算科学を中心にそれらを含んだ学際研究に取り組み、分裂しすぎた諸科学の再統合を志向している。著者に『ゼミナール宇宙科学』(東京大学出版会)、訳書に『銀河の世界』(エドウィン・ハッブル著、岩波書店)、『時間・空間・重力 相対論的世界への旅』(ジョン・アーチボルト・フィーラー著、東京化学同人)、『宇宙創世記 ビッグバン・ゆらぎ・暗黒物質』(ジョセフ・シルク著、東京化学同人)、『科学はひとつ』(学而図書)などがある。『科学はひとつ』は、「戎崎の科学は一つ」の記事を抜粋し、書下ろしの解説を加えて作られた。

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