眼および感覚器の起源: orgins of eye and sensors
箱クラゲ類の一種であるTripedalia cysyophra簡単な眼点のほかに大小のカメラ型の眼を持っており、軟体動物型と脊椎動物型の両方の眼を持っているので、眼の起源の研究に好適である。この箱クラゲは、PAX族に属する遺伝子を一つPAXBだけ持っており、眼と平衡嚢において発現していることが分かった。また、PAXBはPAX2/5/8に似た対構造とPAX6に似たDNA結合ドメインを持っている。PAX2/5/8は多くの動物で機械(姿勢・聴覚)感覚器に発現している。PAX6は、動物の眼を誘導することがわかっている。
PAX族遺伝子の共通祖先はPAXBであり、それが遺伝子重複によって複製されてPAXB1とPAXB2ができ、PAXB1は、DNA結合ドメイン(したがって眼を誘導する機能も)を失ってPAX2/5/8となり、平衡感覚(聴覚)器を誘導するようになり、一方で、PAXB2は対構造部分が変化してPAX6に進化したと考えられる。
また、すべての感覚細胞は繊毛を持っており、感覚機能は、細菌の繊毛による機械刺激受容と光受容による繊毛運動励起の機能に起源している可能性が高い。
J.Pitatigorsky and Z. Kozmik 2004, Int. J. Dev. Biol. 48: 719-729.