海綿動物の炭酸カルシウム鉱化:Calcification of Sponge
海綿動物は古生代中生代の重要な造礁生物であり、骨を作る遺伝子セットを獲得した最初の多細胞生物と考えられている。Jackson et al. 2007は、Astrosclea Willeyana(stromatoporid spongeの生き残り)において、炭酸カルシウム鉱化で働いている酵素を分離してAstrsclerin-1, -2, -3を得た。これらは炭酸カルシウム鉱化の中で重要な働きをしているα-carbonic anhydrase(炭酸脱水素酵素)とよく似た配列を持ち、同じ遺伝子族に属すると考えられる。それらの系統を調べた結果、α-carbonic anhydrase遺伝子族は後生動物(Matazoa)の共通祖先で獲得されて、それが海綿から真後生動物へ至る進化の過程で起こった数回の遺伝子複製を経て炭酸カルシウム生物鉱化の機能を持ったと考えられる。
Jackson et al. 2007, Nature, 316, 1893-1895.