海の透明化による外骨格とカメラ眼の発明

1)動物の発達による海洋透明化
エディアカラ期に至って、有機物をこしとる動物が発生。糞粒および死体による海洋の表面、海底への有機物流量増加。海洋表面の大きな体積(数メートルから数十メートル)が可視・紫外光に対して初めて透明になった。同時に底に落ちてくる有機物を食料にするスカベンジャー生態系が海底に発達。脊索動物の祖先は、その中で生まれて生活していた。

2)海洋透明化により日よけとしての外骨格の発達
海洋表面近くでは、藻類の光合成により酸素に富み(マクロガイア成立)動物の大型化が可能になった。日の当たる暮らしのために、紫外線よけとして外骨格(炭酸カルシウム)が発達。炭酸カルシウム析出の遺伝子は、細菌(たぶんシアノバクテリア)からの水平遺伝子移動で得た (Jackson et al. 2011)。

3)レンズの発明によるカメラ眼の発達
炭酸カルシウム外骨格の一部がレンズとして二次的につかわれるようになり三葉虫で眼として最初に確立。日が当たる暮らしの必需品となる。索敵掃討型の生物の誕生。海底はまだヘドロ状態で光は届いていない。そこに住む脊索動物(ハイコウエラ、ピカイア)では眼はまだ発達していない(Parker 2003)。

4)光スイッチによるカンブリア大爆発
光スイッチが入ってカンブリアの大爆発が開始(Parker et al 2003)

貧酸素海洋事変(アノキシア)はエディアカラ期もしくはそれ以前への生態系の先祖がえり現象。低温と紫外線の増加による動物(プランクトン)の死滅もしくは個体数減少がその引き金となる。

上記では、海洋表面と海底と垂直方向に分けているが実態は、「不透明な赤潮状態の海」と「透明な海」の場所が、地域的に二分されていたかもしれない。それらは、状況や季節に応じて変化していた。

Jackson, D.J. et al. 2011, BMC Evolutionary Biology, 11, 238

Parker, A. 2003, In the Blink of an Eye, Simon and Schster UK Ltd.