坂本龍一&吉永小百合が反戦訴え「みんなで絶対にダメだと言ってあらがえばよい状況になる」

吉永小百合さんが出演し、大ヒットした映画「キューポラのある街」(1962年製作)は、最後の方で朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を「地上の楽園」と賛美しつつ、彼女が扮する主人公の友人の朝鮮人家族が船に乗って北帰するシーンで終わっている。すぐに続編が作られ、日本に残った上記朝鮮人家族の日本人妻を北帰するよう吉永さんが扮する主人公が説得するシーンもあるという(戎崎は見ていない)。

在日朝鮮人の北朝鮮への帰還事業は、1989年まで続いており、家族とともに北朝鮮に渡った日本国籍者は数千人に登るという。その中にはこの映画を見て決意した方も多かったのではないだろうか。その大部分は、日本国籍者として迫害され大変苦労したという。北朝鮮は「地上の楽園」などではけっしてなかった。そのプロパガンダに乗った映画をよく調べもせずに製作した関係者の責任は重いと思う。

吉永さんは当時まだ未成年であり、この点についての責任を彼女に問うつもはない。しかし、すでに責任ある社会人となり、大女優として尊敬される立場になった今、このことについて口を噤んだまま、平和を語るのはいかがなものだろうか?

映画の中で彼女(が扮した主人公)が賛美した北朝鮮は、今この時、戦後約70年間少なくとも平和に暮らしてきた日本人に罵詈雑言を浴びせ、繰り返しミサイルを発射して核攻撃をすると脅している。傘下の人民をひどく搾取・迫害していることも、すでに多くの報告書で明らかになっている。平和を語るなら、このような平和の破壊者に、心ならずも協力してしまった自分を総括することから始めるのが筋ではないかと私は思う。

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