ウランとトリウムに富む南アルプスのモナザイト: A uranium- and thorium-rich monazite from a south-alpine
南アルプスのピオナとコモ湖周辺のペグマタイトは希少な鉱物を産出することで有名である。「Filone della Malpensa」と呼ばれる鉱物は、希土類を最も豊富に含んでおり、大変興味深い。同様の鉱物は、バルテリナ谷とベルゲル山塊に広くみられる。この緑色のペグマタイト鉱物は、もともとランタンとセリウムのリン酸化物として記述され、単位結晶パラメータは、モナザイトと一致していた。しかし、可視光の吸収スペクトルのような物理的な性質が普通のモナザイトと違っている (Gramaccioliet al. 1987)。電子顕微鏡解析によると、普通のモナザイトに比べて高いウラニウムの含有量(UO2で16%)を示し、トリウム含有量(ThO2で11%)もそこそこに多い。シリカがほとんどない(0.16%)。
この放射性同位元素に富む鉱物の産出が、タバコマウスの分布(ポシキアボ谷とバルテリナ谷)とほぼ一致する(Hauffe, H. et al. 2004)ことは興味深い。
1) Gramaccioli, C.M. and Segalstad, T.V., 1978, A uranium- and Thorium-rich monazite from a south-alpine pegmatite at Piona, Italy, American Mineralogist, Volume 63, pages 757-761.
2) Hauffe H. C. et al. 2004, The tabaco mouse and its relatives: a “tail” of coat colors, chromosomes, hybridization, and speciation, Cytogenet. Genome Res. 105, 395-405.