二価金属イオンを二つ使うRNA触媒反応の一般機構: A general two-metal-ion mechanism for catalytic RNA

ファイル 111-1.jpg

RNAのスプライシング反応、RNase PのtRNA前駆体の加水分解反応など、RNAが触媒する反応は、一般に約3.9オングストロープ離れた二価の金属イオンを二つ使ってホスホリル転位反応を進める(Steitz and Steitz 1993)。一つの金属イオン(Aサイト;図)は、水分子、もしくは糖分子の水酸基を攻撃して活性化し、もう一つの金属イオン(Bサイト)は脱離するリン酸イオンを安定化させる。これらの金属はMg2+、Mn2+、Zn2+が可能だが、野生型触媒ではAサイトにZn2+が、BサイトにMg2+が使われることが多い。両方の金属イオンともルイス酸として働き、五価遷移状態を安定化させると期待される(図)。このような対称な金属配置による触媒機構は、I族自己スプライシングイントロン、II族自己スプライシングイントロン、スプライソゾーム、RNase Pの反応機構と合致している。

1) Steitz, T.A. and Steitz, J.A. 1993, A general two-metal-ion mechanism for catalytic RNA, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 6948-6502.