Now & Then, Carpenters

カーペンターズのあまりに有名なアルバムを購入して聞いた。中学に入学すると同時に英語の勉強に必要という名目で買ってもらったラジカセ。英語はそっちのけでラジオから流れてくるポップミュージックに夢中になってしまった。このアルバムの発表は1973年6月とあるから、私が15歳を迎える年の初夏ということになる。確かに、天気の良い初夏の日曜日にラジオからイエスタディ・ワンスモアが聞こえたときのことを鮮明に覚えている気がする。その後数カ月にわたって、このアルバムの曲がヒットチャートを席巻した。

このアルバムの真の特徴はB面にある。イエスタディ・ワンスモア(これだけオリジナル)から始まるオールディズのメドレーだった。「昔、大好きな曲を待ってラジオに聴き入っていた、、、という歌詞から始まり、スポーツカーの爆音に続いてビーチボーイズのファンファンファン、さらにラジオDJの紹介に続いて次の曲が、、、と進み、最後は、「When I was young I’d listen to the radio」のリフレインで眠り込むように終わるという徹底ぶりだった。メロディーラインを強調した垢ぬけたアレンジでオリジナルの泥臭さを払拭し、カレン・カーペンターズが深みと伸びがある美声で歌う趣向は素晴らしかった。これらの曲はカーペンターズ兄妹がティーンエイジャーの時にコピーして歌っていたものだとのこと。カーペンターズ家に呼ばれて一緒にラジオを聞いたり、楽器を演奏したり、歌ったりしているかのような楽しさがあった。カレンの歌唱力とともに、リチャードのアレンジャー、プロデューサーとしての才能が爆発したと評されていたと思う。全く同感だ。

40年がたち、今私はこのアルバムをオールディズとして聴いている。時を超えてリチャード・カーペンターズの魔術にはまってしまった。快い。When I was young I’d listen to the radio, waiting for my favorite songs, so fine, so fine,,ムニャムニャムニャ、、、。

ルーツと青春

前の記事

五右衛門の足跡
書評

次の記事

中原中也 大岡昇平著