東京2020オリンピック・パラリンピック開幕に思う

東京2020オリンピック・パラリンピックが始まった。ここまで来れば、大会は半分成功していると思う。1年の延期を経て、色々な議論がある中で開催にこぎつけた関係諸兄の勇気と努力に敬意を表したい。

日本ではワクチン接種の進展などにより、新型コロナ感染症による死者の増加が抑制されていることを考えると、観客を入れての開催もあり得るとは思うが、世界ではまだ憂慮する事態が続いている国・地域もある。不測の事態を考えると無観客開催は無難な処置だったと思う。現状の日本の技術をもってすれば、選手と関係者のみであれば、どのような事態でも対応できる。しかし、その上10倍する人数で自由に市内を動き回る観客までが関われば、その制御は困難を極めることは想像に難くない。

開会式を見て、日本の新しいメッセージがないと批判めいたことを口にする人がいる。冗談ではない。このような状況下で敢えて、オリンピック・パラリンピックを開催する行為がそのまま強いメッセージを放っている。開会式では、困難を乗り越えて集ってくれた選手諸君に、質素だが心のこもった歓迎の志を伝えればいい。それは果たされたと思う。

このオリンピック・パラリンピックで日本が発したメッセージは、「かつてのようにスポーツを自由に楽しめるようにもうすぐなるぞ。もう少しの我慢だ。」ということだ。これこそ、全世界の人々が待っているものだ。米英日では、そろそろ実現しつつあるが、世界全体ではまだまだだ。自国の選手が参加した大会でそれが実現しているのを見ることは、どんなに励みになることか。黙々と円滑な運営を心掛けておればよいのだ。円滑な運営こそが求められているもので、その達成そのものが強いメッセージを含んでいる。

選手諸君はこの1年間、社会全体が新型コロナ感染症で揺れる中、自分の体調を維持してここまで来るのに大変な苦労をしたと思う。その努力に敬意を表したい。彼らはすでに勝者である。後は、本番で全力を尽くし、磨いてきた技と力と精神力を見せてほしい。そして結果はどうあれ、お互いの健闘を称えあってほしい。

我々はそれをただ愛でておれば幸せだ。