2020年11月5日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 科学論 「複雑な系」への挑戦 17世紀後半のニュートンによる現代科学の創始から現在まで約350年の間、近代科学の発展に伴いさまざまな物理系の仕組みが解明された。太陽系や理想気体など単純な系に適用されて大きな成果を上げた。しかし、20世紀も後半になると単純な系の研究はほぼ終わり、単純でない系、つまり複雑な系が未解明で残った。 現代科学が今直面している複雑な系には、相変化を伴うガスや凝集系、生命体(脳や身体運動、個体発生を含む)、生態系、気候システム、プラズマ、自己重力天体(星、星団、銀河、そして宇宙全体)などが含まれる。これらの…