リボフラビンの生合成経路は図1にまとめられているように、1分子のGTPと二分子のリボース5リン酸から始まる(Fischer and Bacher 2005)。GTPシクロヒドロラーゼIIが、アミダゾール環からギ酸、GTP(1)の側鎖から二リン酸を放出して、2,5-ジアミノ-6-リボシルアミノ-4(3H)-ピリミジノーネ5′-リン酸(2)を生成する。2位のアミノ基の水分解性放出とリボース側鎖の還元、そしてリン酸の脱離により5-アミノ-6-リビチルアミノ-2,4(1H,3H)-ピリミジンジオーネ(3)を…
微生物のロドプシンは、膜貫通型のαヘリックスを7つもつオプシンと光感受性のある補因子レチナールの共有結合により作られている。古細菌において、ロドプシンは光で能動駆動されるイオン輸送機構および走行性のセンサーとして働いている。好塩古細菌の一種であるHalobacterium salinarumは、一連のイソプレノイド重合反応で作られるゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)を二つ結合してファイトエンとし、さらに不飽和化反応でリコペンを得る。リコペンの両端を環化してβ-カロテンとなり、それを二分してレチナー…
電子伝達系の複合体I、もしくはNADHキノン酸化還元酵素(Nuo)は、現生生物の呼吸鎖の一部をなしており、嫌気性微生物のエネルギー保持[NiFe]ヒドロゲナーゼと密接な進化上の関係を持っている(fig 1)。すべての生物の中で、複合体Iのキノン結合サブユニットNuoDは、膜結合ヒドロゲナーゼ(MBH)の中のH2放出[NiFe]含有触媒サブユニットMbhLと最も近い関係にある。MBHは電子供与体としてフェロドキシン(Fd)を、NuoはFdもしくはNADHを用いる。Schut et al. 2016によ…
生物は、酸化的リン酸化反応を使って、一連の膜結合電子伝達複合体で陽子駆動力を作り出し、ATPを合成する。そのとき最終的には外部の最終電子受容体を還元する必要がある。Sapra et al. 2003は、100℃の環境が最適に生育する古細菌Pyrococcus furiosusは、それとは少し違った呼吸系を持つことを発見した。それは、膜結合ヒドロゲナーゼ一つのみで構成されている。この酵素は、細胞質性の酸化還元タンパク質フェロドキシンから電子を陽子に渡し、水素ガスを作ると同時に陽子を細胞外に輸送する。こ…