左:真正細菌・古細菌の共通祖先が持っていたと考えられる代謝。右:酸素呼吸は、酸素発生型光合成に先行して現れた。Castresana and Sataste (1995)は、以下の酸化還元たんぱく質が、真正細菌と古細菌の両方にみられるので、真正細菌・古細菌の共通祖先は、すでにこれらを持っていたと考えている。1)チトクローム酸化酵素サブユニットIとII2)チトクロームb3)Rieske鉄硫黄タンパク4)青色銅タンパク5)2Fe-2Sと4Fe-4Sフェロドキシン6)コハク酸脱水素酵素の鉄硫黄サブユニットこ…
酸素還元酵素(O2Red)は、酸素呼吸鎖に欠かせない酵素で、系統的には関係のない二つのスーパーファミリー(Cyt-bdとヘム・銅O2Red)から構成されている。後者はさらに、A族、B族、C族の三種類に分けられる(Pereira et al. 2001)。Brochier-Armanet et al. (2009)は、673種の真正細菌と古細菌からのこの4種(Cyt-bd、ヘム・銅O2Red酵素のA族,B族、C族)の系統解析を行い、酸素呼吸の起源と進化について調べた。その結果、それぞれの種類は固有の進…
ヒドロゲナーゼ(H2ase)は水素分子の酸化反応と逆反応を触媒する酵素で、生体のエネルギー代謝で中心的な役割をはたす。この酵素は、古細菌と細菌にひろくみられ、真核細胞にもみられる。ほとんど大部分のH2aseは金属酵素でありその金属部位は、二つの種類に分けられる。最初の種類は古典的な[2Fe-2S]、[2Fe-4S]、そして[4Fe-4S]でできた鉄・硫黄クラスタである。これらの金属クラスタは、H2活性サイトとH2aseの酸化還元パートナーとの間の電子を輸送を行っている。もう一種類の金属部位は、Niと…
酸化還元反応によって解放されたエネルギーの一部は、高エネルギー結合を持つ生体化学物質に保存される。細胞の中ではアデノシン三リン酸(ATP)というヌクレオチドがエネルギー担体として最も重要である。ATPは、アデノシン塩基とリボース糖一個ずつとリン酸3つでできている。これらのリン酸の酸素原子は、無水結合とエステル結合でつながっている。ATPからアデノシン二リン酸(ADP)へのリン酸の解離でモルあたり50-60 kJのエネルギーが解放される(正確にはリン酸濃度やPHに依存する;Nelson and Cox…