被子植物の起源: Origin of Angiosperm

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後期ジュラ紀には、ローラシア大陸の北アメリカ東部とゴンドワナ大陸が離れ、北大西洋ができ始めていた。また、ローラシア大陸の東からはテーチス海が深く湾入していた。

前期白亜紀の赤道周囲の熱帯地方(北アメリカからヨーロッパ南部、西アジア)の地中海からテーチス海周辺地域に被子植物始原群が出現し(140Ma-130Ma)た。最古の花粉化石がイスラエルから、ポルトガルの130Ma-115Maの地層から、最も古い小型化石が発見されている。それらは、最も原始的な、アンボレラ科、センリョウ科、スイレン科、アウストロペイレヤ目、マツモ目などである(Friis et al. 1994; 2000)。最近の分子系統解析によると、現生被子植物の中でも、ニューカレドニアで1種だけ知られているアンボレラが最も原始的であるとされている(Endress and Igersheim 2000)。その進化の特徴は、放射多様型である(高橋2006)。つまり、一つの系統樹の中で順を追って段階的に進化したというよりは、初期に放射状にあらゆる方向に多様化している。現生の科に属さない多くの植物群もすでに分化していたが、その多くは絶滅した。

ジュラ紀にすでに被子植物があったという報告がいくつがなされたが、いずれも確定的ではなく、現在では信じられていない(高橋2006)。

1) 高橋正道, 2006, 被子植物の起源と初期進化, 北海道大学出版会
2) Endress, P.K. and Ingersheim, A. 2000, The reproductive structure of the basal Anigiosperm Amborella trichopoda (Amborellaceae). Int. J. Plant. Sci. 181, (Suppl. 6):S237-S248.
3) Friis E.M. et al. 1994, Anigiosperm floral structures from the Early Cretaceous of Portugal Plant. Syst. Evol. (Suppl.), 8, 31-49.
4) Friies, E.M. et al. 2000, Reproductive structure and organization of basal anigiosperm from the early Cretaceous (Barremian and Aptian) of western Portugal, Int. J. Plant Sci., 161, S161-S182.