地球における生命の発生には、生物学的な情報を維持し進化させることが可能な、自己複製化学反応系の成立が必要である。自己複製RNAが一つしかないRNAワールドでは、自分自身の情報を維持するためと寄生的な分子に対して十分に高い競争力を保つために、変異率を十分に下げることが重要であるが、それが非常にむずかしいことが分かってきた。理論的な解析ではお互いに相互作用する複数の分子のネットワークの方が、生命らしいふるまいをする化学反応系を発展させやすいことが分かっている。Vaidya et al. (2012)は、…
現在のゲノムの複製過程で働いているtRNA様構造はすべての生物に存在し、高く保存されている。tRNAの機能はたんぱく質の鋳型形成が始まる前、つまりRNAワールドにおいて既に存在していたと考えられる(Maizels and Weiner 1994)。現代のtRNAの上半分つまりTψC配列と受容ステムが最も古い機能要素で、残りの下半分は特異性を向上させるために付加されたと考えられる(図左上)。QβバクテリオファージはRNAファージでその3末端はCCAで終わるtRNA様構造を持っており、これがレプリカーゼ…
RNAのスプライシング反応、RNase PのtRNA前駆体の加水分解反応など、RNAが触媒する反応は、一般に約3.9オングストロープ離れた二価の金属イオンを二つ使ってホスホリル転位反応を進める(Steitz and Steitz 1993)。一つの金属イオン(Aサイト;図)は、水分子、もしくは糖分子の水酸基を攻撃して活性化し、もう一つの金属イオン(Bサイト)は脱離するリン酸イオンを安定化させる。これらの金属はMg2+、Mn2+、Zn2+が可能だが、野生型触媒ではAサイトにZn2+が、BサイトにMg2…
認識実験ロボットXCR-1は、小さな3輪ロボットで、複数のカメラによるカラー画像入力、マイクロフォン音声入力、取っ手による触覚入力の受容能力を持つ(Haikonen2011)。また、何かを認識するとそれに対応する言葉を発する独言機能を持っている。これは、ロボットの認識状態のモニターに使われる。XCR-1は、マイクロプロセッサもどんな種類のプログラムも実装されておらず、ハイコネン式認識アーキテクチャ(Haikonen 2003)で結合された連想ニューロンネットワークのみで、象徴処理による認識能力を実現…