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戎崎の科学は一つ

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2016年3月29日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

新規遺伝子の出現率:Emergence rate of founder genes

生物はもともとある遺伝子を元にして、その重複と再構成で新しい遺伝子を作ってきたと考えられてきた。ところが最近になって、元になっている遺伝子が見つからない「孤児」遺伝子がたくさん存在することが分かってきた。それらは、重複や再構成から始まったが原型がわからないほど変化してしまった遺伝子か、ゲノムの非翻訳領域からコピーされて、何らかの理由で調節機構を獲得し新たに遺伝子になったものらしい。後者はこれまであまり多くないと考えられてきたが、最近になってこの遺伝子獲得機構が生物進化に重要な役割を果たしていることが…

2016年3月21日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動

白亜紀末の寒冷化と暗黒星雲遭遇による大絶滅

Nimura et al. (2016)は、深海底コアのサイト886Cの遠洋堆積物の中に、イリジウム濃度が異常に高い層が5m連続的に分布していることを発見した。そのイリジウム以上層の最上層近くに、チュチュルブ小惑星衝突に関係するK-Pg(中世代―新生代)境界のイリジウム濃度スパイクがある。この幅の広いイリジウム濃度の異常は、地球表面起源のいかなる成分の混合でも説明できない。一方で、太陽系が100pcに及びその中心濃度が2000個陽子/cm^3に達する巨大分子雲に遭遇したと考えるとうまく説明できる。K…

2016年3月9日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 科学論

研究者の生命線としての図書館

 研究の進歩が加速している。ちょっと前までは一つの方法論を武器に20年は世界の一線で戦えた。つまり、大学院の頃、習い覚えた学問体系と手法で50歳前後まで頑張り、後は若い研究者を指導(搾取)しつつ、学会や組織間の利害の調整に時間を使って60歳の定年を迎えるというのが研究者の典型的なライフサイクルだった。 ところが今や、世界中の研究者との競争のため、ちょっとした手法の有利は5~10年で陳腐化してしまう。優秀な若手研究者が頑張って定職に就いて、40代になった頃に、彼(彼女)を支えていた手法が賞味期限を過ぎ…

2016年3月7日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 天体物理学

ブラックホール連星の起源と超巨大ブラックホールへの成長

多くの銀河の中心核に太陽の100万倍から10億倍の質量をもつ超巨大ブラックホール(SMBH)があることは、星とガスの運動学研究からはっきりとしてきた。一方、その形成機構は良く和分かっていない。その一つの理由は、恒星質量ブラックホールと超巨大ブラックホールとの間の質量をもつ「中間質量」ブラックホールが発見されていないことにある。X線天文衛星ASCAとChandraのスターバースト銀河M82の中心部分の観測の観測により、このミッシングリンク、中間質量ブラックホールが発見された。Subaru望遠鏡による引…

2016年3月7日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

ストレスを受けた植物の世代をまたいだレトロ転移をsiRNAが妨げている

真核生物のゲノムは、かなりの割合をレトロトランスポゾンで占められている。ただし、その活動は宿主のエピゲノム機構で制御され、不必要な場合は抑制されている。しかし、この抑制機構の詳細はわかっていない。Ito et al. 2011は、熱ストレスをかけたArabidopsisの実生苗において、ONSENという名前を付けたレトロポゾンの転写が活性化し、染色体外DNAコピーとして、細胞内に存在することを示した。小型干渉性RNA (siRNA)遺伝子が発現しないような変異株の場合、転写産物量と、染色体外コピー数…

著者プロフィール

戎崎 俊一(えびすざき・としかず)
1958年山口県生まれ。大阪大学理学部物理学科を卒業後、東京大学理学系研究科天文学専攻に進学。NASA研究員、神戸大学助手、東京大学助手、同助教授を経て、1995年から理化学研究所主任研究員、2024年より同研究所客員主管研究員。天体物理学と計算科学を中心にそれらを含んだ学際研究に取り組み、分裂しすぎた諸科学の再統合を志向している。著者に『ゼミナール宇宙科学』(東京大学出版会)、訳書に『銀河の世界』(エドウィン・ハッブル著、岩波書店)、『時間・空間・重力 相対論的世界への旅』(ジョン・アーチボルト・フィーラー著、東京化学同人)、『宇宙創世記 ビッグバン・ゆらぎ・暗黒物質』(ジョセフ・シルク著、東京化学同人)、『科学はひとつ』(学而図書)などがある。『科学はひとつ』は、「戎崎の科学は一つ」の記事を抜粋し、書下ろしの解説を加えて作られた。

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