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戎崎の科学は一つ

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2013年1月20日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動

七世紀初頭の気候寒冷化と隋の崩壊

隋の煬帝は、611年-614年にかけて高句麗遠征を行う。年輪による平均温度の復元結果をみると、このころ気候は急速に寒冷化していた(上図)。煬帝による過酷な徴発とこの寒冷な気候のせいで中国東北地方が、ひどい飢饉となったのだろう。天災に人災が重なった悲惨な例である。西暦611年「ーー耕し稼うるに時を失ひ、田畑は多く荒れる。これに加えるに飢饉し、穀の価はなはだ貴し。東北の辺りもっとも甚だしくーー」資治通鑑隋軍を悩ませたという冬将軍は例年よりずっと厳しいものだったのかもしれない。この後、隋はついに立ち直れず…

2013年1月19日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 生命の起源

ヒドロゲナーゼの構造と分類: Structure and clasification of Hidrogenazes

ヒドロゲナーゼ(H2ase)は水素分子の酸化反応と逆反応を触媒する酵素で、生体のエネルギー代謝で中心的な役割をはたす。この酵素は、古細菌と細菌にひろくみられ、真核細胞にもみられる。ほとんど大部分のH2aseは金属酵素でありその金属部位は、二つの種類に分けられる。最初の種類は古典的な[2Fe-2S]、[2Fe-4S]、そして[4Fe-4S]でできた鉄・硫黄クラスタである。これらの金属クラスタは、H2活性サイトとH2aseの酸化還元パートナーとの間の電子を輸送を行っている。もう一種類の金属部位は、Niと…

2013年1月18日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 生命の起源

生体におけるATPの形成: Synthesis of ATPs in biological organism

酸化還元反応によって解放されたエネルギーの一部は、高エネルギー結合を持つ生体化学物質に保存される。細胞の中ではアデノシン三リン酸(ATP)というヌクレオチドがエネルギー担体として最も重要である。ATPは、アデノシン塩基とリボース糖一個ずつとリン酸3つでできている。これらのリン酸の酸素原子は、無水結合とエステル結合でつながっている。ATPからアデノシン二リン酸(ADP)へのリン酸の解離でモルあたり50-60 kJのエネルギーが解放される(正確にはリン酸濃度やPHに依存する;Nelson and Cox…

2013年1月9日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動

全球凍結事変のスターバーストモデル

地球の46億年の歴史の中で、原生代に二回(22-24億年前と5.5-7.7億年前)にのみ、赤道まで凍結した全球凍結事変があったことが知られている(Hoffman and Schrag, 2002; Maruyama and Santosh 2008)。全球凍結に至る機構はこの10年における熱心な研究にもかかわらず、よくわからなかった。Kataoka etal. (2013)は、この全球凍結事変の天の河銀河のスターバーストによって引き起こされたとするモデルを提案した。天の川銀河も、星形成率が通常の10…

2013年1月4日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

ヨーロッパの草原バッタの亜種分布と氷河期

ヨーロッパの草原バッタChorthippus parallelsはヨーロッパからシベリアにかけて分布しているが、過去数十年の間、特にピレネー山脈の雑種領域に関して集中した研究がおこなわれた(Hewitt 1996)。分類学によると、この種は三種の亜種つまり、イベリア半島にC.p. erythropus、ギリシャにC.p. tenuis、さらにC.p. parallelsがその他のイギリスからシベリア、フィンランドからトルコまで分布している。ピレネー山脈にある雑種域は、数kmの幅しかなく、その両側で形…

2013年1月3日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化

種分化が完成する前の種

ガラパゴス諸島のダーウィンフィンチの適応放散は、種の分化を調べるのに適している。彼らは、2-3百万年前に最初に植民した一つの種から分岐し、現在は14種がガラパゴス諸島に生活している。Grant and Grant (2006)は、ガラパゴス諸島の大ダフネ島のフィンチ類の進化を調査している。そこで彼らは、種分化の異所的時期において、自然選択と食物獲得ニッチへの適応の役割の重要性が繰り返し確認された。また、種分化の同所的時期において、歌と形態の違いが、遺伝子交換に対する前交尾的障害になっていることを見出…

著者プロフィール

戎崎 俊一(えびすざき・としかず)
1958年山口県生まれ。大阪大学理学部物理学科を卒業後、東京大学理学系研究科天文学専攻に進学。NASA研究員、神戸大学助手、東京大学助手、同助教授を経て、1995年から理化学研究所主任研究員、2024年より同研究所客員主管研究員。天体物理学と計算科学を中心にそれらを含んだ学際研究に取り組み、分裂しすぎた諸科学の再統合を志向している。著者に『ゼミナール宇宙科学』(東京大学出版会)、訳書に『銀河の世界』(エドウィン・ハッブル著、岩波書店)、『時間・空間・重力 相対論的世界への旅』(ジョン・アーチボルト・フィーラー著、東京化学同人)、『宇宙創世記 ビッグバン・ゆらぎ・暗黒物質』(ジョセフ・シルク著、東京化学同人)、『科学はひとつ』(学而図書)などがある。『科学はひとつ』は、「戎崎の科学は一つ」の記事を抜粋し、書下ろしの解説を加えて作られた。

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