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戎崎の科学は一つ

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2015年1月6日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 ルーツと青春

五右衛門の足跡

今から約35年前のこと、私は大阪大学理学部物理学科の2年生だった。当時私は、恐ろしく古くてぼろの一軒家に一人で下宿していた。ある夏の終わりの夜、下宿の前まで来るとピーピー泣いている子猫がいる。この子と共同生活をすることになってしまった。私の部屋は本やら、新聞紙やら服やらが散乱するとてもひどい状態だった。一度、空き巣に入られたが、まったく分からなかったほどだ。しかし、この子の忍び技はすばらしく、そんな中でもカサとも音を立てない。それに感動した私は、この猫を五右衛門と名付けた。われわれの共同生活が「飼う…

2015年1月6日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 書評

人イヌにあう、コンラート・ローレンツ著 

イヌやネコを飼っている人は、ぜひ読むといい。彼らと仲良く共同生活するための知恵が随所にちりばめられている。特に、ローレンツの動物の表情の観察は鋭く、愛情にあふれ、洞察に富んでいる。読んでいたら、遠い昔、学生時代に共同生活していた猫のことを思い出した。そのうち書かせてもらおう。…

2015年1月6日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 書評

自己組織化と進化の論理 スチュアート・カウフマン著

一世を風靡した(今もしている?)複雑系科学の第一人者による自己組織化の一般書である。彼らは、NKモデルと言われる数理モデルを使って、自己触媒化学反応ネットワークをモデル化した。それは、生命の起源、発生と細胞分化、カンブリア紀爆発進化、人間心理、社会・経済構造の発達と関係があるの主張がなされている。生命の起源が、単なる一つの自己複製化学物質から始まるのではなくて、相互に触媒しあうたくさんの化学物質でできた自己触媒ネットワークにあるという主張は確かに卓見だと思う。N種類の分子が存在する反応系においては、…

2015年1月6日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 音楽映画評

「風立ちぬ」を観た。

堀越二郎の一連の戦闘機開発の物語、堀辰雄の同名小説、そしてトーマス・マンの「魔の山」の要素を3:3:1ぐらいの割合で混ぜて、宮崎監督の夢と想像力で固めてできた史上初(たぶん)の純文学アニメ作品である。技術者・開発者として面白い挿話はいたるところにあった。サバの骨の形が美しいという二郎の感覚は正しい。流体の抵抗がすべてを決める水中にすむ魚の形と飛行機の揚力を生む翼断面の形が同じなのはたぶん理由がある。独自の工夫で無様なあひるの子を作った亀(二郎)の勇気が大事だ。その失敗の経験は次につながる。二郎は、飛…

2015年1月6日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 ルーツと青春

私の自由研究

私は山口県下関市彦島に住んでいた。本州の西端、九州に向かって突き出した岬の先端にある島である。彦島は造船で栄えた町だった。しかし、もう当時は韓国との厳しい競争に晒されて、構造不況に島全体があえいでいた。そのためか、島にはたくさんの空き地があった。どこも草が伸び放題。盛大に葉っぱを伸ばしたカヤの大株があちこちに見られた。私の家はそんな原っぱの中にあった。私は、カヤの葉の中心を走る白い葉脈に赤い斑点が点々とついている場合があることに気がついた。この斑点の原因は何か?それをつきとめることを研究テーマにした…

2015年1月6日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 ルーツと青春

H君とK君

H君とK君は、私の中学3年のころの友達である。彼らと深く交わるようになったきっかけは井上靖の小説「夏草冬濤」であったと思う。その後半に主人公とその友達が、文芸(哲学だったかな)同好会を作り、学校の各クラスを回って、演説し会員の勧誘をするエピソードがあった。当時それがNHKのドラマになって放映された。放映の次の日H君とK君が二人して私のところのやってきて、「あれがとてもよかった。ぜひ自分たちも同じようなことをしてみたい。ついては一緒にやらないか?」と私を誘ったのである。600人もいた同級生からなぜ私が…

2015年1月6日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 書評

金・銀・銅の日本史 村上隆著

金・銀・銅は贅沢な装飾品として、通貨として歴史を動かす「富」そのものだった。日本はかつて豊かな産出量を誇り採鉱、精製錬、金属加工技術は驚くべき高みに達していた。そこにはハイテク日本のルーツである、工人の創意工夫が少なくとも1500年の歴史を持つものであることが、埋葬・副葬品、芸術作品や飛鳥池遺跡、石見銀山などの産業遺跡調査の結果から浮かび上がる。…

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著者プロフィール

戎崎 俊一(えびすざき・としかず)
1958年山口県生まれ。大阪大学理学部物理学科を卒業後、東京大学理学系研究科天文学専攻に進学。NASA研究員、神戸大学助手、東京大学助手、同助教授を経て、1995年から理化学研究所主任研究員、2024年より同研究所客員主管研究員。天体物理学と計算科学を中心にそれらを含んだ学際研究に取り組み、分裂しすぎた諸科学の再統合を志向している。著者に『ゼミナール宇宙科学』(東京大学出版会)、訳書に『銀河の世界』(エドウィン・ハッブル著、岩波書店)、『時間・空間・重力 相対論的世界への旅』(ジョン・アーチボルト・フィーラー著、東京化学同人)、『宇宙創世記 ビッグバン・ゆらぎ・暗黒物質』(ジョセフ・シルク著、東京化学同人)、『科学はひとつ』(学而図書)などがある。『科学はひとつ』は、「戎崎の科学は一つ」の記事を抜粋し、書下ろしの解説を加えて作られた。

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