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戎崎の科学は一つ

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2014年5月23日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 福島第一原子力発電所事故

オクロ・オケロボンド地域の自然原子炉の周期的な動作:Cycling Operation of the Natural Nuclear Reactor in Oklo/Okebondo Area

20億年前のオクロの自然原子炉から抽出された元素の同位体比から調べると、235Uと239Puの核分裂と中性子捕獲反応の証拠が得られた。有効中性子フラックス(10^21 n/cm^2以下)、消費されたウラン量(5トン以上)、放出されたエネルギー(15GW yr)などが推定されている。また、半減期が24000年の239Puを使って、核分裂反応の実効継続時間が約150000年であることが導かれる。平均出力は100 kW程度と見積もられる。したがって、この原子炉は爆発することなく長期にわたって安定に動作して…

2014年5月22日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

自然原子炉における生命誕生

冥王代において、放射性のアクチノイド(トリウム、ウラン、プルトニウム)に富んだ砂鉱床が集積した砂浜環境で生命が誕生した証拠が増えている(Adam 2007)。43億年前の砂浜鉱床にウラナイトが重量で数パーセント含まれていれば、核分裂反応が継続的に発生する可能性があることが分かった。実際、アフリカ、ガボン共和国のオクロには、自然原子炉の化石が存在している。そこでは、約24-19億年前に核分裂反応が臨界に達し、定常的にエネルギーを発生していたことが確認されている(Naudet 1991; Petrov …

2014年5月11日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 科学論

反証可能性とカメレオン

科学的仮説は「もし条件Pが真であるならば、観察可能なQが生じる」という条件命題の形をとっている。しかし、Qが観察されたからと言って、Pが正しいとは言えない。Qを生じる別の仮定が存在してもいいからである。しかし、Qが生じなかった場合には、Pは一義的に否定できる。カール・ポパーはこのことに目をつけて、「反証」という手続きを受け入れるかどうかが、「科学」と「非科学」を分かつ境界線であると考えた。ポパーによれば科学の歴史は「仮説の提起とその反証」という試行錯誤のプロセスであり、競合する諸理論は、反証による自…

2014年5月11日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 科学論

S学問とY学問の興亡

学問の名前にはYで終わるものとSで終わるものがある[1]。前者はAstronomy(天文学)、Geology(地質学)、Biology(生物学)、Chemistry(化学)、Phylogeny(進化学)、Geography(地理学)、History(歴史)などであり、後者はPhysics(物理学)、Mathematics(数学)、Genetics(遺伝学)、Statistics(統計学)、Dynamics(動力学)などである。前者は、発見の学問であり、対象物を分類し記載する。新種を発見し記載すること…

2014年5月6日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

蛇紋岩化反応による非生物的メタン噴出

Ophiolite(橄欖岩、斑糲岩などの超塩基性岩の複合体)の低温蛇紋岩化反応による還元的ガス(メタンと水素ガスを主成分とする)の噴出が世界で4か所(フィリッピン、ニュージーランド、オマーン、そしてトルコ)で報告されている。Etiope et al. 2011は、その一つであるトルコのキマイラ噴出孔のガス成分とその同位体組成を調べた。この噴出孔の名前は、英雄ベレロポーンにより殺されたとされる火を噴く怪物キマイラに由来する。この噴気孔のすぐそばには、ギリシャの火の神Hephaestus神殿の遺跡がある…

2014年5月2日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 生命の起源

熱水プールからの亜リン酸の検出: Detection of Phosphite from geothermal pool

Pech et al. 2009は、カリフォルニア州マンモス湖の近くにあるHot Creek Gorgeの熱水プールからのサンプルに0.06 μMの濃度の亜リン酸と0.05μMのリン酸を検出した。しかし、それに続く流れのサンプルからは検出できなかった。亜リン酸は、現代の酸素に富む大気によって速やかに酸化されて、リン酸になったと考えられる。亜リン酸塩はリン酸カルシウムに比べて1000倍も水に溶けやすく、生命誕生場におけるリンの源として有望視されている。陸上の熱水プールは生命誕生場の有力候補である。ゲノ…

著者プロフィール

戎崎 俊一(えびすざき・としかず)
1958年山口県生まれ。大阪大学理学部物理学科を卒業後、東京大学理学系研究科天文学専攻に進学。NASA研究員、神戸大学助手、東京大学助手、同助教授を経て、1995年から理化学研究所主任研究員、2024年より同研究所客員主管研究員。天体物理学と計算科学を中心にそれらを含んだ学際研究に取り組み、分裂しすぎた諸科学の再統合を志向している。著者に『ゼミナール宇宙科学』(東京大学出版会)、訳書に『銀河の世界』(エドウィン・ハッブル著、岩波書店)、『時間・空間・重力 相対論的世界への旅』(ジョン・アーチボルト・フィーラー著、東京化学同人)、『宇宙創世記 ビッグバン・ゆらぎ・暗黒物質』(ジョセフ・シルク著、東京化学同人)、『科学はひとつ』(学而図書)などがある。『科学はひとつ』は、「戎崎の科学は一つ」の記事を抜粋し、書下ろしの解説を加えて作られた。

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