蛇紋岩化反応による非生物的メタン噴出

Ophiolite(橄欖岩、斑糲岩などの超塩基性岩の複合体)の低温蛇紋岩化反応による還元的ガス(メタンと水素ガスを主成分とする)の噴出が世界で4か所(フィリッピン、ニュージーランド、オマーン、そしてトルコ)で報告されている。Etiope et al. 2011は、その一つであるトルコのキマイラ噴出孔のガス成分とその同位体組成を調べた。この噴出孔の名前は、英雄ベレロポーンにより殺されたとされる火を噴く怪物キマイラに由来する。この噴気孔のすぐそばには、ギリシャの火の神Hephaestus神殿の遺跡がある。

蛇紋岩化反応によって放出された水素ガスが、Fisher-Tropsh型反応により一酸化炭素もしくは二酸化炭素と反応してメタンが作られている。ガスは、約5000m^2の大きさのOphiolite岩体の露頭の断層に分布する約50か所の主要噴気孔から噴出しており、そのうち約20か所では半メートルほどの炎が上がっている。メタンの噴出総量は少なくとも年間150-190tに達している。炭化水素などの同位体比から、これらのガスが非生物的に作られていることが確かめられた。また、その水素同位体比から生成温度は50度以下であることが分かった。

このTekiorova ohiolite岩体は、クロムを多く含んでおり、近くにクロム鉱山もある。このような岩体の蛇紋岩化反応で生成されるクロマイトは、Fisher-Tropsh型反応のよい触媒であることが分かっている (Neubeck et al. 2011)。

1)Etiope, G. et al. 2011, Abiotic methane flux from the Chimaera seep and Tekirova ohiolites (Turkey): Understanding gas exhalation from low temperature serpentization and implication for Mars, Earth and Planetary Science Letters, 310, 90-104.

2) Neubeck, A. et al. 2011, Formation of H2 and CH4 by weathering of olivine at temperatures between 30 and 70 °C, Geochemical Transactions,
12, 6.