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戎崎の科学は一つ

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2013年11月27日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 生命の起源

月の石の中のシュライバーサイト: Schribersites in a moon rock

アポロ14号が持ち帰った透明な岩石14310の中の不透明な鉱物の中の鉄・ニッケル金属とトロイライトの中に、鉄リン化合物の鉱石シュライバーサイトが発見された(El Gorsey 1971)。シュライバーサイトは、広く隕石に存在しているので、普通は隕石の混入と考える。しかし、今回発見されたシュライバーサイトは、鉄ニッケル金属の粒の中の二つの小さな丸い粒として存在しており(写真)、月で作られたものである可能性が高い。X線蛍光解析の結果、一つはほとんど純粋なFePで、もう一つは、Niが28重量パーセント混ざ…

2013年11月27日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 生命の起源

燐酸グリセロールの前生物的合成: Prebaiotic formation of Glycerol-phosphate

グリセロールとシュライバーサイト[(Fe,Ni)3P]を水中で嫌気的な環境で65度Cに加熱すると、亜燐酸と燐酸グリセロールが2.5%の収率で生成した(Pasek et al. 2013)。燐酸グリセロールは細胞膜の主成分である。Pasek M.A. et al. 2013, Evidence for reactive reduced phosphorous species in the early Archean ocean, 110, 10089-10094….

2013年11月27日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 生命の起源

ホウ酸鉱物とRNAワールドの起源: Borate minerals and origin of RNA world

RNAワールドは前生物的(>3.7Ga)化学と現代のDNA/タンパク質生化学の間を埋める重要な鍵である。RNAワールド仮説が成り立つためには、それに先立ってRNAを構成するリボースが他の糖に対して際立って安定になる環境が整えられる必要があった。ホウ酸溶液の中で、リボースが特に安定になる事実が発見され(Bener 2004)、これがこの問題に対する解決と考えらるようになった。残る問題は、RNAの合成が進む原初地球において、十分な量のホウ素が存在していたかということになる。ホウ素は典型的な地殻元素であり…

2013年11月24日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 生命の起源

マグネシウムと生命の起源: Magnesium and Origin of life

マグネシウムはATPの燐酸に結合し安定化するマグネシウムは、酸素原子6つを効率的に配位する能力を持ち、生化学において特別な役割をしている(Holm 2012)。このような酸素は、酸化物陰イオンの一部の場合が多い。例えば、Mg2+は、大きな分子の中の別々の離れた燐酸イオンと結合し、その結果としてRNA等の分子の折りたたみに関与している。このMg2+の性質はまた、核酸の中の二燐酸や三燐酸を安定化させるとともに、一燐酸から多リン酸への重合を助ける。このようなことから、マグネシウムが化学進化と生物の起源に深…

2013年11月11日 / 最終更新日時 : 2023年4月13日 戎崎 俊一 生命の起源

冥王代の地球表層環境:The Hadean Surface Enviroment of the Earth

わずかな地質学的なデータをつなぎ合わせることにより、原始地球の環境条件が明らかかになりつつある(Sleep 2010)。地球は、月を形成した大衝突(太陽系誕生から、40-50Myr後に発生)による高温状態から出発した。最初の100年から1000年は岩石の蒸気で覆われていた。衝突でできた深いマグマ海は、200万年ほど続いた。その冷却率はそれを覆う水蒸気やその他の温室効果ガスの量で決まる。マントルが固化すると大気中の水蒸気が、液化して500Kの温かい海を形成しその上を約100バールの二酸化炭素が覆うこと…

2013年11月1日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動

アエロゾルが低層雲に与える影響

図の説明:2002年6月7月8月におけるアエロゾルと雲の空間分布。上)アエロゾルの柱密度の空間分布。光学的厚さが輝度で、色がアエロゾルの種類を表している:赤:サブミクロン粒子と煙粒子で主に中央アフリカ煙がヨーロッパと北アメリカからの汚染アエロゾルである。緑:アフリカからの塵と海塩粒子。下)低層雲(赤)と対流雲(緑)とその混合(青)。黒い領域は大陸を現わしている。汚染された環境で発達する雲は、雲粒の粒が小さく数が多い傾向がある。この性質は、降水を押さえ雲の寿命を延ばすかもしれない。一方で、アエロゾルに…

著者プロフィール

戎崎 俊一(えびすざき・としかず)
1958年山口県生まれ。大阪大学理学部物理学科を卒業後、東京大学理学系研究科天文学専攻に進学。NASA研究員、神戸大学助手、東京大学助手、同助教授を経て、1995年から理化学研究所主任研究員、2024年より同研究所客員主管研究員。天体物理学と計算科学を中心にそれらを含んだ学際研究に取り組み、分裂しすぎた諸科学の再統合を志向している。著者に『ゼミナール宇宙科学』(東京大学出版会)、訳書に『銀河の世界』(エドウィン・ハッブル著、岩波書店)、『時間・空間・重力 相対論的世界への旅』(ジョン・アーチボルト・フィーラー著、東京化学同人)、『宇宙創世記 ビッグバン・ゆらぎ・暗黒物質』(ジョセフ・シルク著、東京化学同人)、『科学はひとつ』(学而図書)などがある。『科学はひとつ』は、「戎崎の科学は一つ」の記事を抜粋し、書下ろしの解説を加えて作られた。

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