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戎崎の科学は一つ

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生命の起源

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2014年6月5日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

電子放電によるシアン化水素の形成

Toupance et al.(1975)は、C-H-Nガスを低圧電子放電に数秒間晒し、その流出物を解析した。炭化水素(エチレン、アセチレン、メチルアセチレン)と窒素を含む化合物(シアン化水素、シアン、飽和ニトリル、アクリロニトリル、シアノアセチレン)が含まれていた。正極は、長さ10cm、直径20mmのチューブ、陰極は直径1mmのタングステンで構成した。反応炉の圧力は20トルとし、ガスを定常的に流した。ガスの放電滞在時間は約3秒だった。放電の電圧差は450-550Vで放電電流は100 mAだった。C…

2014年6月5日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

自然の原子炉が臨界に達する条件

自然環境下で核分裂連鎖反応が臨界になるためには、以下の条件が必要である(Gauthier-Lafaye et al. 1996)。1)臨界質量を超えるほどウランの濃度が高いこと2)ホウ素や希土類元素などの中性子捕獲原子核の存在比が小さいこと3)中性子の減速材として働く、軽元素(水の水素)が豊富にあること4)ウラン鉱物が核分裂可能核を多く含んでいること最後の条件は、ウラン鉱物の年齢と関係している。核分裂をしない238Uの半減期(44.68億年)は、核分裂を起こす235Uの半減期(7.038億年)よりも…

2014年6月4日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

窒素とエチレンの混合ガスへのガンマ線照射によるシアン化水素合成

Oka et al. (1968)はエチレン(C2H4)と窒素(N2)のガス混合物に60Coからのガンマ線を照射するとシアン化水素(HCN)が形成されることを見出した。そのG値(エネルギー100keV当たりの分子生成数)は、照射時間により0.1-0.5だった。G値が、窒素ガスの分圧に依存しなかったことは、窒素原子か窒素原子イオンがHCN分子形成に関与していることを示している。OKA, T et al. 1968, Hydrogen Cyanide Formation in the Gas-phase…

2014年6月2日 / 最終更新日時 : 2023年4月29日 戎崎 俊一 生命の起源

硫化水素存在下におけるアルミナ触媒によるシアン化水素の生成:Hydrogen Cyanide Synthesis Catalyzed by Alumina in the Presence of Hydrogen Sulfide

BMA過程といわれる反応では、メタン(CH4)とアンモニア(NH3)を触媒(プラチナもしくはアルミナ(Al2O3))のもとで1200度Cに加熱すると、シアン化水素(HCN)が生成される(Endter 1958)。この反応はΔH=252kJ/molで強く吸熱的である。Hillbrand(1984)は、体積濃度10%の硫化水素(H2S)を加えることで、反応温度1000度CにおけるHCN収率が4倍(約80%)に増えることを発見した。Hillbrand, W. 1984, Hydrogen Cyanide …

2014年5月22日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

自然原子炉における生命誕生

冥王代において、放射性のアクチノイド(トリウム、ウラン、プルトニウム)に富んだ砂鉱床が集積した砂浜環境で生命が誕生した証拠が増えている(Adam 2007)。43億年前の砂浜鉱床にウラナイトが重量で数パーセント含まれていれば、核分裂反応が継続的に発生する可能性があることが分かった。実際、アフリカ、ガボン共和国のオクロには、自然原子炉の化石が存在している。そこでは、約24-19億年前に核分裂反応が臨界に達し、定常的にエネルギーを発生していたことが確認されている(Naudet 1991; Petrov …

2014年5月6日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 生命の起源

蛇紋岩化反応による非生物的メタン噴出

Ophiolite(橄欖岩、斑糲岩などの超塩基性岩の複合体)の低温蛇紋岩化反応による還元的ガス(メタンと水素ガスを主成分とする)の噴出が世界で4か所(フィリッピン、ニュージーランド、オマーン、そしてトルコ)で報告されている。Etiope et al. 2011は、その一つであるトルコのキマイラ噴出孔のガス成分とその同位体組成を調べた。この噴出孔の名前は、英雄ベレロポーンにより殺されたとされる火を噴く怪物キマイラに由来する。この噴気孔のすぐそばには、ギリシャの火の神Hephaestus神殿の遺跡がある…

2014年5月2日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 生命の起源

熱水プールからの亜リン酸の検出: Detection of Phosphite from geothermal pool

Pech et al. 2009は、カリフォルニア州マンモス湖の近くにあるHot Creek Gorgeの熱水プールからのサンプルに0.06 μMの濃度の亜リン酸と0.05μMのリン酸を検出した。しかし、それに続く流れのサンプルからは検出できなかった。亜リン酸は、現代の酸素に富む大気によって速やかに酸化されて、リン酸になったと考えられる。亜リン酸塩はリン酸カルシウムに比べて1000倍も水に溶けやすく、生命誕生場におけるリンの源として有望視されている。陸上の熱水プールは生命誕生場の有力候補である。ゲノ…

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著者プロフィール

戎崎 俊一(えびすざき・としかず)
1958年山口県生まれ。大阪大学理学部物理学科を卒業後、東京大学理学系研究科天文学専攻に進学。NASA研究員、神戸大学助手、東京大学助手、同助教授を経て、1995年から理化学研究所主任研究員、2024年より同研究所客員主管研究員。天体物理学と計算科学を中心にそれらを含んだ学際研究に取り組み、分裂しすぎた諸科学の再統合を志向している。著者に『ゼミナール宇宙科学』(東京大学出版会)、訳書に『銀河の世界』(エドウィン・ハッブル著、岩波書店)、『時間・空間・重力 相対論的世界への旅』(ジョン・アーチボルト・フィーラー著、東京化学同人)、『宇宙創世記 ビッグバン・ゆらぎ・暗黒物質』(ジョセフ・シルク著、東京化学同人)、『科学はひとつ』(学而図書)などがある。『科学はひとつ』は、「戎崎の科学は一つ」の記事を抜粋し、書下ろしの解説を加えて作られた。

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