2013年11月1日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動 アエロゾルが低層雲に与える影響 図の説明:2002年6月7月8月におけるアエロゾルと雲の空間分布。上)アエロゾルの柱密度の空間分布。光学的厚さが輝度で、色がアエロゾルの種類を表している:赤:サブミクロン粒子と煙粒子で主に中央アフリカ煙がヨーロッパと北アメリカからの汚染アエロゾルである。緑:アフリカからの塵と海塩粒子。下)低層雲(赤)と対流雲(緑)とその混合(青)。黒い領域は大陸を現わしている。汚染された環境で発達する雲は、雲粒の粒が小さく数が多い傾向がある。この性質は、降水を押さえ雲の寿命を延ばすかもしれない。一方で、アエロゾルに…
2013年10月11日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動 海洋低層雲の日夜サイクル 左:清浄な場合。夜に雲被覆率が上がるが、朝早期に晴れあがる(c,e)。夜間に降雨があり(d)、アエロゾル密度は低く保たれる(a)。右:汚染条件では、午前中まで雲の被覆率が高く、晴れあがりは午後にずれ込む(c,e)。海洋への太陽の直射が少ないので対流は発達せず、降雨もまったくない(d)。このためアエロゾル密度は高く保たれる(a)雲解像シミュレーションを行って、海洋上の境界層における対流モードが、アエロゾル数密度の変化で、降雨(開かれた対流セル)モードと非降雨(閉じた対流セル)モードの二つのモードにはっ…
2013年10月10日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動 アエロゾル密度による海洋境界層における雲被覆率の急激な変化 左:海洋境界層上の低層雲は二つの状態があるように見える右:開いたセルでは、雲の被覆率が小さく、雲粒のサイズが大きい。閉じたセルでは、雲の被覆率が大きくて、雲粒のサイズが小さい。海洋上の大気の境界層は、雲核の数密度によって、以下の3つにのはっきり分かれたモードをとることが分かった(Rosenfeld et al. 2006)。1)雲核に富む海洋境界層は、閉じたベナード対流セルを形成し、ほぼ完全に雲に覆われる。このような場所では、対流の駆動が雲頂における冷却によって駆動される。つまり、雲頂で冷やされた雲…
2013年1月20日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動 七世紀初頭の気候寒冷化と隋の崩壊 隋の煬帝は、611年-614年にかけて高句麗遠征を行う。年輪による平均温度の復元結果をみると、このころ気候は急速に寒冷化していた(上図)。煬帝による過酷な徴発とこの寒冷な気候のせいで中国東北地方が、ひどい飢饉となったのだろう。天災に人災が重なった悲惨な例である。西暦611年「ーー耕し稼うるに時を失ひ、田畑は多く荒れる。これに加えるに飢饉し、穀の価はなはだ貴し。東北の辺りもっとも甚だしくーー」資治通鑑隋軍を悩ませたという冬将軍は例年よりずっと厳しいものだったのかもしれない。この後、隋はついに立ち直れず…
2013年1月9日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動 全球凍結事変のスターバーストモデル 地球の46億年の歴史の中で、原生代に二回(22-24億年前と5.5-7.7億年前)にのみ、赤道まで凍結した全球凍結事変があったことが知られている(Hoffman and Schrag, 2002; Maruyama and Santosh 2008)。全球凍結に至る機構はこの10年における熱心な研究にもかかわらず、よくわからなかった。Kataoka etal. (2013)は、この全球凍結事変の天の河銀河のスターバーストによって引き起こされたとするモデルを提案した。天の川銀河も、星形成率が通常の10…
2011年12月26日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 気候変動 過去2000年の気温変化と王朝の盛衰 年輪から求められた過去2000年の気温変化。世界史上の主要事件を重ね書きした。The Temperature anormalies of the past 2000 years reconstructed by tree rings. The major events of the world wide history were plotted by Toshikazu Ebisuzaki. The original version of this figure was prepared by Ro…