グリファイトは、ウランとトリウムを含む燐酸鉱物で、これらによる放射線による構造変化が地質時間にわたって蓄積している。再結晶に必要な温度は比較的高くて、放射線による損傷が蓄積する。グリファイトの結晶形においては、単独の燐酸の他に、放射線損傷によりお互いに結合した(PO4四面体の鎖)が検出された(Chakoumakos et al. 1990)。Chakoumakos B. C. et al. 1990, Alpha-decay-induced condensation of phosphate ani…
日本の天皇制は、内乱による悲惨な市街戦による国民の被害を最小限にとどめるのに重要な役割を果たしてきた。天皇はサイレント・マジョリティたる無辜の民を代表する機能を持っている。内乱が起こったとき、最も有力で無害そうな権力者を選び保護を受ける。その際に、無辜の民(ご本人とその関係者も含めて)の安寧を約束させてきた。それ以外のことは政治に口出しせずに、権力者の意向に従われるのが、ほとんどの天皇の立ち位置だった。一方、権力者の方では、天皇の綸旨を使い、官軍を名乗ることで政治的に有利な位置を確保し、日和見・中立…
酸化的なCO2大気では、水の存在下でホルムアルデヒドを作ることは問題なくできる(Galimov et al. 2006)。しかし、その条件ではアデニンの前駆物質であるHCNの合成は禁止される。一方、CO2の代わりにCH4で構成されるようなを還元的な大気では、HCNとその重合体が作られるが、ホルムアルデヒドの合成は抑制される。ホルムアルデヒドとHCNが同時にできたとしても、それらはシアノヒドリンを作ってしまう傾向が強い。これは、アデノシンリン酸への重合反応を阻害する。したがって、HCN重合物-リン酸化…
Glick (1955)は、太古地球における水溶性の燐酸化合物の生成として、単燐酸の還元を提案した。Glindemann et al (1999)は、水で飽和したメタンと窒素混合ガス中の放電させると、燐酸カルシウム(カルシウム単燐酸)を還元して、亜燐酸塩を生成することを見出した。さらに de Graaf and Schwartz (2000)はさらに、CO2(60%)+N2(40%)混合ガスにH2+CO2を混ぜて、燐酸カルシウムを放電に晒す実験を行い、H2+CO2が18%の場合には、亜燐酸の収率が、…
私は、昨年福島に行った際に、株JMCマグネット事業部(http://www.jmc-japan.com/mag/index.html)の佐藤さんに邂逅した。彼の会社はセシウムを吸着する技術を持っている。それは、磁性化ゼオライトを田んぼに播いて、後で磁石で回収するというものだ(株マグネテックジャパン、愛媛大学との共同プロジェクト)。この方法では、水中に出てきたセシウムは効率よく回収するのだが、田の粘土に吸着したセシウムがどうしても除去できないということで悩んでおられた。そこで私は、微生物を利用する提案をした。納豆菌は貪欲にカリウムとそのアナログであるセシウムを体内に吸収して可溶化するはずだ。それを含んだ微生物資材を田に施用した後、彼の除去技術を適用すればうまくいくはずだということを示唆させてもらった。それまではセシウムの可溶化にはシュウ酸などの強い酸を用いるしかなく、田んぼの土壌環境を荒らしてしまう可能性が高かったので農家が躊躇してしまうというのが問題だった。納豆ならば、要するに食品なので、田んぼへの影響は軽微もしくはその土壌環境はよりよくなる可能性もあるとのことで農家が歓迎するかもしれないとのことだった。実行力抜群の佐藤さんは、ふくしまの農業団体である「NPO法人 がんばろう福島、農業者等の会」と連携し、田植え前の田んぼに愛媛AIという肥料として市販されている微生物資材(納豆菌、乳酸菌、酵母の混合物とされている)をまいた上で、従来通りの除染作業を行ったところ、一気に田んぼの放射能が半分になり一定の成功を収めたとのこどだ。ただし、効果が安定せず、うまくいく場合とそうでない場合があるようだ。ただし、この方法は、田んぼの土壌環境を荒らさないので、農家が土壌改良のついでに、除染作業を気軽にはさむことができるという意味で実践的な方法と言えるかもしれない。セシウムの可溶化の成功・不成功には田んぼの中の微生物生態系の動態が重要であるようだ。佐藤さんに協力している横山氏(農研機構中央農業総合研究センター)によると、田んぼの中の生物多様性が重要らしい。農林省は、セシウム対策に大量のカリウムを肥料として投与することを農家に進めている。横田氏はカリウムが田んぼに蓄積しすぎると、田んぼの微生物システムが破壊される傾向にあることを心配している。カリウムがだぶついてミネラルバランスが崩れてしまった田畑の土壌環境の回復にも、微生物資材の投入と磁性化ゼオライトによる吸着作業は有効かもしれない。この秋に、除染作業に成功した二本松農園の田んぼからとれた新米が白米の形でが2kg理研に届いた。念のため理研の仁科加速器研究センターのRI応用チームの羽場さんに頼んで計測してもらったところ、以下のような結果だったCs-137: Cs-134: 基準を大幅に下回る数値である。もちろん、糠や籾殻はそういうわけにはいかないだろうが、素晴らしい数値だと思う。この数値の達成に、ほんのちょっとだけでも自分が貢献できたとするなら、大変うれしいことだ。福島では、このような試みがさまざまな形で推進されていると聞く。それらが相互に競争しつつ、情報を交換して前に進んでいるだろう。勤勉できめ細かい日本人の特性が発揮され、農地の除染技術が一新するのではないだろうかと私は期待している。件の、二本松農園では、この手法を確立するための募金を募集しているそうだ(図を参照)。さて、先週のJEM-EUSO会合の際に収穫祭と称してパーティを私の研究室で行った。その折に、このいただいた白米を炊いてつくったおにぎりを出した。私自作の紫イモを蒸かしたのと混ぜると、とてもいい色合いになった。会合にはの60人を超える外国人たちも参加し、きれいに平らげてくれた。「何がおいしかった?」と聞くと、「おにぎり」との答えが多かったことを報告しておきたい。実際、新米はおいしかった。