2015年5月23日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 科学論 国際プロジェクトで活躍する日本人 最近、科学プロジェクトの多くが大型化して一国では賄うのが不可能になってきた。その結果、複数の国が協力し合って計画を推進する国際プロジェクトが増えている。その多くが、費用の50%近くを出す「主幹国」が存在しない「真の国際プロジェクト」となっている。 こうしたプロジェクトの運営は複雑だ。半年に1回程度回り持ちで、コラボレーション会議を行い、そこで主要な成果を報告し、重要な案件を協議して決定するようにしている。コラボレーションの代表者は、主要な指導者で組織する運営会議でお互い話し合って選び、彼(または彼女…
2015年2月19日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 科学論 「言論の自由」は科学の必須栄養素 米国National Science Foundation (全米科学財団)のワシントン本部のビルの銘板には、以下の言葉が刻まれている。Liberty is the great parent of science and of virtue; and a nation will be great in both in proportion as it is free. Thomas Jefferson 1743-1826<自由は科学と美徳の偉大な源である。そして、その自由に比例して、国家は科学と美…
2015年2月7日 / 最終更新日時 : 2023年4月10日 戎崎 俊一 科学論 STAP騒動について まず、理研に所属するものとして今回の誠に恥ずかしい事態で世間をお騒がせしたことを深くお詫びしたいと思います。理研の判断と小保方氏の記者会見が終わり事態の全貌がおぼろげながら見えてきました。 そこで、「小保方氏にSTAP細胞の研究に没頭させるべきだ」とする意見がかなりある様なので、科学者の端くれとして意見を述べさせていただきます。 一連の経緯で明らかになったことは、彼女が科学者として当然身に着けなければならない必須事項がまったくできていないということです。それは、理研の委員会および理事会が断定し、今回…
2015年2月7日 / 最終更新日時 : 2023年5月4日 戎崎 俊一 科学論 科学者モドキ 科学者がもうかる商売になるにしたがって、科学者の擬態をし「できる科学者」に成り済ます「科学者モドキ」の生息ニッチが広がっているようだ。理研は、彼らの生息数が比較的少ないいいところであったが、だんだん増えてきたように思う。彼らの擬態能力は年々向上し、それを見破るのは、容易ではなくなってきている。科学者モドキが一人でもチームに入ると、その生産性ががっくり落ちるので、何とか排除したいが、彼らはプレゼンテーション能力だけは抜群の場合が多いので、1時間程度のプレゼンテーションでは騙される。本物とモドキを見分け…
2015年2月7日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 科学論 科学における論文の重要性 科学者にとって論文を書くことは最も重要な仕事である。科学研究の主要な最終生産物は論文である。それは、論文を書いて出版することにより、多分に属人的な発見や発明が、社会全体の知恵に昇華するからである。論文を読めば、誰でも(一定以上の技量と設備を持っていれば)発見された現象を再現し、自分のものとすることができる。それは、改めて試行錯誤して再発見するよりずっと短時間ででき、しかも簡単で経費もかからない。このように貴重な発見・発明を公表することの代償として、科学者たちは自分の論文の中でその論文を引用し、その発…
2015年1月10日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 科学論 米国National Science Foundation本部ビル玄関の名板 Liberty is the great parent of science and of virtue; and a nation will be great in both in proportion as it is free. Thomas Jefferson 1743-1826自由は科学と美徳の偉大な源である。そして、国家は自由になるにつれて、科学と美徳の両方で偉大になる。トーマス・ジェファーソン 1743-1826(翻訳は戎崎、写真は戎崎が2010年6月28日に撮影)…
2014年5月11日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 科学論 反証可能性とカメレオン 科学的仮説は「もし条件Pが真であるならば、観察可能なQが生じる」という条件命題の形をとっている。しかし、Qが観察されたからと言って、Pが正しいとは言えない。Qを生じる別の仮定が存在してもいいからである。しかし、Qが生じなかった場合には、Pは一義的に否定できる。カール・ポパーはこのことに目をつけて、「反証」という手続きを受け入れるかどうかが、「科学」と「非科学」を分かつ境界線であると考えた。ポパーによれば科学の歴史は「仮説の提起とその反証」という試行錯誤のプロセスであり、競合する諸理論は、反証による自…