STAP騒動について

まず、理研に所属するものとして今回の誠に恥ずかしい事態で世間をお騒がせしたことを深くお詫びしたいと思います。理研の判断と小保方氏の記者会見が終わり事態の全貌がおぼろげながら見えてきました。

 そこで、「小保方氏にSTAP細胞の研究に没頭させるべきだ」とする意見がかなりある様なので、科学者の端くれとして意見を述べさせていただきます。

 一連の経緯で明らかになったことは、彼女が科学者として当然身に着けなければならない必須事項がまったくできていないということです。それは、理研の委員会および理事会が断定し、今回、本人も公式にそれを認めたようです。これはいわば、ヘルメット、安全靴着用が義務付けられている工事現場に、無帽、ハイヒール、ミニスカート着用で歩き回っていたことに等しいです。当然、大事故を引き起こしてしまい、本人も関係者も理研も科学界も大きな傷を負ってしまいました。それがはっきりした段階で、ご本人には工事現場から退去をお願いし、なぜ、そんな素人が現場に入り込んだのかの安全上の管理責任が問われることになります。実際、そのために再発防止の委員会が外部の有識者を中心に理研に組織されました。ここでは、その責任の所在、組織としての管理の問題点の指摘と改善が議論されることになると思います。一方、ご本人については、現場に立つものが持つべき基本事項を本当に身に着けたことを確認しないと、現場復帰はありえないのは当然のことだと思います。それは、大学に戻ってやはり問題となっている博士論文を書きなおすことから初めて、科学者としてのイロハを学んでいただくことだろうと私は思います。

 一連の経緯で明らかになった彼女の不注意連発状況をみると、厳密さが要求される今後のSTAP実証研究に彼女が実験担当者として参加することは百害あって一利なしと私は思います。もちろん、発見したとする実験の詳細のレポートを提出していただきたいと思いますが、あのずさんさでは役に立たないかもしれません。

 もちろん、誰かが彼女の研究を私的に応援することは自由です。ぜひ、スポンサーとなって彼女がやりたい研究を支援してあげてください。実験設備や運用費は相当高額であることは覚悟してください。ハイリスクであることを認識したうえで彼女のSTAPに賭ける投資家がいてもいいと思います。ただし、税金を使って理研がそれを行うことは、私は反対です。どう考えても納税者に対して説明できません。

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