過去2000年の気温変化と王朝の盛衰
図1に年輪から再構築した過去2000年の気温変化に、世界史上の重要事件を重ね書きした。
http://en.wikipedia.org/wiki/File:2000_Year_Temperature_Comparison.pngをもとに戎崎が作成
The Temperature anormalies of the past 2000 years reconstructed by tree rings. The major events of the world wide history were plotted by Toshikazu Ebisuzaki. The original version of this figure was prepared by Robert A. Rohde from publicly available data, and is incorporated into the Global Warming Art project.
図1を見ると、中国の王朝にとどめを刺した乱の多く(黄巾の乱[漢末]、八王の乱[晋末]、農民の乱[隋末]、黄巣の乱[唐末])は、数年-数十年にわたる低温期に起こっているように思われる。ユーラシア北方民族の南下は低温期に起こっている(漢末の動乱[180-220]、五胡十六国開始[304ごろ]、安史の乱[763]、土木の変[1449])。また、11世紀から12世紀にわたる北方民族(金、元、ノルマン)の数次にわたる執拗な南下は、中世温暖期末の長期的な低温化の時期に一致している。温暖期に人口が増えた北方民族が、低温化で食料の確保が難しくなり、南下したと考えられる。
世界的な低温化による、ユーラシア北方・中央部における食糧不足が、東アジアにおける政変の原因と考えられる。「衣食足りて、礼節を知る」という言葉がある。逆に読めば「衣食が足りなければ、礼節もくそもない」ということになるかもしれない。そんな世界にしてはならない。今は、科学技術で予測し、対策を立てて克服できるはずだからだ。