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戎崎の科学は一つ

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2015年1月7日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 書評

心の仕組み スティーブン・ピンカー著

進化心理学という分野がある。人類の進化の中で、心がどのように発達してきたのかを調べる学問である。ピンカーは、進化心理学の旗手の一人とされている。この本における彼の主要な主張は、「心は、狩猟採集生活に適応するために進化してきたニューラル・コンピュータである」ということだ。人間は、狩猟採集生活を通じて「自然物」「生物」「自分の運動」「相手の心理」「論理」「数」などを取り扱い、その次の動きを予測するための「モジュール」を発達させたという。個々のモジュールは、ある程度独立して働きゆるく結合されている。このよ…

2015年1月7日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 書評

情報理論 甘利俊一著

情報理論の基礎を扱った好著。第一章で、あまりにすらすらと情報エントロピーが導き出されるのは驚きだった。その後の章で、通信に関する情報理論が展開され、著者の代表的仕事とされる情報幾何学のとば口まで導かれる。講義録を起こしたものらしく、著者独特の語り口が残っていて名教授の名講義を聞いている気分が味わえる。各説の最後に置いてある「雑談」は、情報学の考え方や方法論を著者なりの解釈で伝えるもので、大変参考になった。このところ、生物進化の理論を作っている。繁殖は交配を通じた次世代へのゲノムの通信とみなせるかもし…

2015年1月7日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 書評

独裁体制から民主主義へ:権力に対抗するための教科書 ジーン・シャープ著

独裁政体制から非暴力的に政権を取り返すためのノウハウが書かれている。この本を参考に多くの独裁国家の民主化が成し遂げられたという。「仲間を作る」「会合を開く」「意識の高いコア集団を組織する」「プロパガンダ文書を印刷して広く配る」「海外と連携する」「デモンストレーションを企画する」とここまで読んでふと気が付いた。私が今やっていることとあまり違いはない。科学革命、つまり新しい科学のパラダイムを考え出して、科学界に広く認めさせることの具体的手段は、政治的革命のそれと似ているのは必然的であろう。命の危険は多く…

2015年1月6日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 書評

中原中也 大岡昇平著 

中原中也の評論である。二人は尊敬と反発をないまぜにしたような激しい親交を結んでいた。中原は天才であった。大岡は普通人であった。天才は普通人が見えないものを見、聞こえないものを聞くことができる。天才は、それができない普通人を、哀れみ、侮蔑し、揶揄さえもする。普通人は、それに傷つき、反発し、しかしその天才性に引き付けられてゆく。一方で、田舎者で無学である(大学に入れなかった)中原は、東京生まれの大学生の友人に憧れ、羨んだ。社会に受け入れられない自分に僻んだ。中原の交友関係は、有名な小林秀雄とのそれも含め…

2015年1月6日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 書評

人イヌにあう、コンラート・ローレンツ著 

イヌやネコを飼っている人は、ぜひ読むといい。彼らと仲良く共同生活するための知恵が随所にちりばめられている。特に、ローレンツの動物の表情の観察は鋭く、愛情にあふれ、洞察に富んでいる。読んでいたら、遠い昔、学生時代に共同生活していた猫のことを思い出した。そのうち書かせてもらおう。…

2015年1月6日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 書評

自己組織化と進化の論理 スチュアート・カウフマン著

一世を風靡した(今もしている?)複雑系科学の第一人者による自己組織化の一般書である。彼らは、NKモデルと言われる数理モデルを使って、自己触媒化学反応ネットワークをモデル化した。それは、生命の起源、発生と細胞分化、カンブリア紀爆発進化、人間心理、社会・経済構造の発達と関係があるの主張がなされている。生命の起源が、単なる一つの自己複製化学物質から始まるのではなくて、相互に触媒しあうたくさんの化学物質でできた自己触媒ネットワークにあるという主張は確かに卓見だと思う。N種類の分子が存在する反応系においては、…

2015年1月6日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 書評

金・銀・銅の日本史 村上隆著

金・銀・銅は贅沢な装飾品として、通貨として歴史を動かす「富」そのものだった。日本はかつて豊かな産出量を誇り採鉱、精製錬、金属加工技術は驚くべき高みに達していた。そこにはハイテク日本のルーツである、工人の創意工夫が少なくとも1500年の歴史を持つものであることが、埋葬・副葬品、芸術作品や飛鳥池遺跡、石見銀山などの産業遺跡調査の結果から浮かび上がる。…

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著者プロフィール

戎崎 俊一(えびすざき・としかず)
1958年山口県生まれ。大阪大学理学部物理学科を卒業後、東京大学理学系研究科天文学専攻に進学。NASA研究員、神戸大学助手、東京大学助手、同助教授を経て、1995年から理化学研究所主任研究員、2024年より同研究所客員主管研究員。天体物理学と計算科学を中心にそれらを含んだ学際研究に取り組み、分裂しすぎた諸科学の再統合を志向している。著者に『ゼミナール宇宙科学』(東京大学出版会)、訳書に『銀河の世界』(エドウィン・ハッブル著、岩波書店)、『時間・空間・重力 相対論的世界への旅』(ジョン・アーチボルト・フィーラー著、東京化学同人)、『宇宙創世記 ビッグバン・ゆらぎ・暗黒物質』(ジョセフ・シルク著、東京化学同人)、『科学はひとつ』(学而図書)などがある。『科学はひとつ』は、「戎崎の科学は一つ」の記事を抜粋し、書下ろしの解説を加えて作られた。

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