山中の発見は4つの遺伝子(Oct3/4、SoX2、c-Myc、Klf4)を細胞の中で同時に発現させると万能幹細胞になるというものだった(Takahashi and Yamanaka 2006)。Oct3/4とSox2は初期胚と幹細胞において、万能性の維持の機能を持っている。一方、c-MycとKlf4とは癌に関係する遺伝子である。c-Mycはヒストンのアセチル化を誘導する遺伝子らしい。Klf4はMycによって誘導されるアポトーシスを抑制する機能を持っていると言われている。さて、Sox2は、細胞分化に深…
デッキンソニアとその這った後の化石(左)とその動物の系統樹上での推定分岐位置(右)ディッキンソニアは、エディアカラ生物群の中で最も目立つ生物であるが、系統学上の位置は、議論の的になってきた。Sperling and Vinter (2010)は、ディキンソニアが、現在の世界の熱帯の海に広くみられる平板生物(後生動物)と類似性が高いと結論した。現生の平板動物(センモウヒラムシ)はディッキンソニアと比べて、大きさと軸方向の構造に関して違いがあるが、これらの差は、基幹グループと分岐グループの差で説明できる…
メタン漏出地点にある析出石灰岩北東黒海のガス漏出地点は、嫌気的なメタンをエネルギー源とする生態系の研究に適している(Reitner et al. 2005)。メタン酸化に伴う石灰の析出がメタン漏出点の周りに堆積している。その一部は微生物マットで覆われている。この微生物の中に住む硫酸還元菌と古細菌がメタンの無酸素酸化を進めていると推定されている。微生物の代謝は、13Cがかなり欠乏した石灰の析出を支えている。硫酸還元菌は細胞内にグレイジャイト(Fe3F4)を包含物として持っており、鉄サイクルが微生物集団…
カンブリア紀初期の熱水孔跡(左)と熱水生物群の化石(右)中国南西部の下部カンブリア期のNiutitang層群の重晶石(硫酸バリウムが主成分)は、この重晶石鉱床は熱水堆積物の鉱床である。顕微鏡の観察で、藻類、海綿類の針骨、チューブ型化石がこの中に保存されていることが分かった(Yang et al 2008)。さらに、これらの化石は、現在の太平洋の深海底の熱水孔生物群とよく似た性格を持っていることが分かった。これらは、カンブリア紀初期にはすでに熱水孔生物群はすでに盛んだったことを示している。Yang R…