リボースの前生物的形成過程: Prebiotic formatin mechanism of ribose

リボースは、核酸の材料でもあり、生物にとって必須の化合物である。リボースのような五単糖は、ホルモース反応で、アルデヒドとグリコールアルデヒドからアルカリ条件で作られる(Joyce 1989; Ferris 2005)。ホルムアルデヒドから糖への凝縮は、粘土などの層状鉱物の二価イオンによって触媒される。反応は段階的に、二量体(グリコールアルデヒド)、三量体と順々に作られる。ただし、この反応では、アルドース、ケトース、糖アルコールの雑多な物質の集合体ができる。リボースのような生物がよく使う化学物質はほんのわずかしかできない。

ホウ酸塩鉱物はリボースを安定化させることが知られている(Prier et al. 2001; Ricardo A, 2004)。ホウ酸とホウ酸塩は多くの種類の糖と複合体を形成し、リボースのような環状構造を持つ五単糖は、高PH環境下で安定なより反応性の低い複合体をホウ酸塩と作るからである。一方で、ホウ酸塩は、上記のホルモース反応そのものを阻害するので話はそう単純ではない。そこで、ホウ酸塩の存在下でも、アルデヒドが固定されて五単糖が優先的に形成される経路が検討され、有望な反応経路が提案されている(Benner et al.2010)。

ホウ素は、ケイ素、炭素などの元素に比べると存在比が少ないが、鉱物を作りにくいので、マグマの結晶化の残りかすの中に濃集しやすい。例えば、トルマリンはホウ素を多く含む鉱物である。これらは、簡単に風化してホウ酸塩を作る。ホウ酸塩は水によくとけるので、川を通して海に流れ込む。それが米国カリフォルニアのデスバレーや死海のような乾燥した低地の塩湖だった場合は、水の蒸発で強く濃集する。

プレートテクトニクスに従って、大陸地殻が裂ける地溝帯には、このような塩湖が多数存在する。その湖底では、海洋底の拡大によるマグマの上昇運動に伴う強アルカリ熱水が噴出している。このような場所は、ホウ酸塩の濃度が高く、強アルカリであり、リボースを選択的に大量に作る条件が満たされている。Schulteand Shock (1993)によると、材料となるアルデヒドも熱水孔で得られる。実際に、多くの温泉からアルデヒドが検出されている(Ingmanson 1997)。

Joyce, G.F. RNA evolution and the origin of life, Nature 1989, 338,217-224.

Ferris, J.P. catalysis and prebiotic synthesis, review in Mineralogy and Geochemistry, 2005, 59, 187-210.

Prieur, B.E., Etuded deL7active prebiotique del7acide borque, Acad. C.R. Sci. paris, Chemie/Chemistry, 4, 667-670.

Ricardo, A. et al. Borate minerals stabilize ribose, Science 2004, 303, 196.

Benner, S.A. et al. 2010, Planetary organic chemistry and the origins of biomoluecules, Cold Spring Harbaer perspectives in Biology, 2, 1-21.

Shulte, M.D. and Shock, E.L. Aldehyde in hydrothermal solutions: Standard partial moral thermodynamic properties and relative stabilities at high temperatures and pressures, Geochim. Cosmochim. Acta. 1993, 57, 3853-3846.

Ingmanson, d.E., Formaldehyde in hot springs, origins Life Evol. Biosphere, 1997, 27, 313-317.