HCNは水中で加水分解してホルムアミド(HCONH2)になる(Huber et al. 2012)。ホルムアミドは沸点が210度なので、乾燥ラグーンで水の蒸発によって濃縮される。ホルムアミドの分解で、HCN、HCCOH、HCOH、COx、アンモニアが作られる。これらのスープを燐酸鉱物の存在下加熱すると、最も簡単なアミノ酸であるグリシンが、シトシン、ウラシル、アデニンとヒポキサンチンなどの塩基が作られる(Saladino et al. 2005)。チミンはホルムアミドをTiO2の存在化で加熱すると合成…
リボースは、核酸の材料でもあり、生物にとって必須の化合物である。リボースのような五単糖は、ホルモース反応で、アルデヒドとグリコールアルデヒドからアルカリ条件で作られる(Joyce 1989; Ferris 2005)。ホルムアルデヒドから糖への凝縮は、粘土などの層状鉱物の二価イオンによって触媒される。反応は段階的に、二量体(グリコールアルデヒド)、三量体と順々に作られる。ただし、この反応では、アルドース、ケトース、糖アルコールの雑多な物質の集合体ができる。リボースのような生物がよく使う化学物質はほん…
山中の発見は4つの遺伝子(Oct3/4、SoX2、c-Myc、Klf4)を細胞の中で同時に発現させると万能幹細胞になるというものだった(Takahashi and Yamanaka 2006)。Oct3/4とSox2は初期胚と幹細胞において、万能性の維持の機能を持っている。一方、c-MycとKlf4とは癌に関係する遺伝子である。c-Mycはヒストンのアセチル化を誘導する遺伝子らしい。Klf4はMycによって誘導されるアポトーシスを抑制する機能を持っていると言われている。さて、Sox2は、細胞分化に深…