2015年1月7日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 音楽映画評 映画評 七人の侍 「七人の侍」は、1954年に公開された黒沢映画の最高峰である。日本と世界の映画の金字塔であることは言うまでもない。野武士との最終決戦。豪雨の中、志村喬演じる勘兵衛が仁王立ちして13騎の野武士を迎え撃つ。近づく馬蹄のとどろき、勘兵衛が弓を構える・・・・。この後の雨の中泥まみれの死闘こそ、映画格闘シーンの白眉である。…
2015年1月7日 / 最終更新日時 : 2023年4月18日 戎崎 俊一 書評 同時代史 タキュトス著 西暦68年、暴君として有名なネロが自殺した。それは帝政ローマを全土を覆う泥沼の内戦の序曲でしかなかった。各地の総督がそれぞれの軍隊に担がれて、皇帝になったからである。それらは、ガルバ(ヒスパニア)、ウッテリウス(ゲルマニア)、ウェスパニアシウス(エジプト)である。軍隊では、下剋上が進行していた。将軍が権威を失って兵士のご機嫌をうかがっていた。ボーナスや利権を約束しなければ、兵士により弾劾されて将軍職を解かれ、非難され、処刑された。次に立つ者も同様の道をたどる。当然、軍隊による略奪と私的報復が横行し、…
2015年1月7日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 書評 チベット旅行記 河口慧海著 漢訳仏典の疑義を糺すため、より原典に近いチベットの仏典を得ることが必要と判断し、当時厳重な鎖国をしくチベットへの入国を決心する。海路カルカッタへつき、万全の準備(語学など)の後、ヒマラヤからチベット国境を超える。あらゆる困難を超えて目的を果たした男。100年前にこんな日本人がいた。…
2015年1月7日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 書評 イブン・ハルドゥーン著「歴史序説3」 この巻はビジネス論と学問論前半。いくつか抜き書きする。極めて実践的。きっとイスラム精神の神髄が含まれているのだろう。「能力がないが信頼できる人」と「能力はあるが信頼できない人」しかいない場合、どちらを雇う方が好ましいか?いずれもそれぞれ利点はあるが、結局は信頼できないが能力がある人を雇う方がよい。能力の点では損害を被ることはなかろうと期待できるし不実については、できるだけ注意して防ぐことができる。最も良い教育法は算術から始めるべきである、なぜなら、これは明晰な知識と組織的な証明に関係するからで、一般…
2015年1月7日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 書評 「文明論之概略」福沢諭吉著 1985年(明治8年)という明治維新後早い段階で、西洋文明と日本および中国の文明の比較・分析し、ほぼ正確にそれらの本質をとらえ、日本の進むべき方向を的確に示した本書が出版されたのは、日本にとって幸いだった。…
2015年1月7日 / 最終更新日時 : 2023年4月29日 戎崎 俊一 書評 Lost Kingdom of Africa, Gas Caesly-Hayford 西洋中心史観で覆い隠されていたアフリカの先史、古代、中世、近世の帝国とその技術、今なお残るその文化。BBC放送の単行本化したもののよう。そのせいか、参考文献がないのが寂しい。その先に行けないじゃあないか。…
2015年1月7日 / 最終更新日時 : 2023年4月7日 戎崎 俊一 音楽映画評 映画評 ジョン・カーター この映画の原作は、E.R.バローズの「火星のプリンセス」で、SFの古典的名作の一つに数えられている。私も中学校の頃に読んで、セクシーなプリンセスの表紙(ハヤカワ)も相まって、胸を躍らせて何度も読んだ小説だ。興行成績は悪いようだ。実際、私が見た会の客は私一人で、大変贅沢な映画鑑賞となった。実際見てみると、実に楽しめた。ほぼ原作を忠実に再現していて、ドキドキした。演出が懲りすぎてないのも私には好印象だった。少なくとも、演出とCGを懲りすぎてストーリーがダメダメ(Dance with Wolves+Las…