2021年10月20日 / 最終更新日時 : 2023年4月6日 戎崎 俊一 新型コロナ感染症 ウィルスと相対湿度:この冬をどう過ごすか 呼吸器疾患を起こす病原体(細菌やウィルス)の活性維持能力(viability)は、環境の相対湿度に強く依存します。上図は横軸に相対湿度、縦軸に活性維持能力を取った模式的な図です。細菌は、相対湿度が下がるにつれて、活性維持能力が落ちてきますが、ウィルスは、相対湿度が50-80%のところに活性維持能力の極小があり、そこから相対湿度が増えても、減っても活性維持能力が増加することが知られています。ただし、ウィルスによってその特性曲線の形かなり違うらしいことがわかっています。呼吸系疾患の病原体は、感染者の口か…
2021年10月18日 / 最終更新日時 : 2023年4月6日 戎崎 俊一 新型コロナ感染症 布マスクの感染防止能力 理研の同僚の和田智之さんのチームのすばらしい研究成果を報告します。彼らはレーザーを使ってマスクを透過するマイクロ飛沫の数を測定しました。その結果、ウレタンマスクは、マスクなしの場合とほとんど変わらない場合がある一方で、不織布マスク、布マスクはサージカルマスク(N95やKF94)とほぼ同等のフィルター性能を持つ(ほとんど飛沫が透過しない)ことが確認されました。水分を多く含んだ飛沫のフィルター性能には、マスク素材の吸湿性が大きな影響を与えるということでしょう。冷感素材は、一般に吸湿性が低いものが多いので…
2021年10月18日 / 最終更新日時 : 2023年4月6日 戎崎 俊一 新型コロナ感染症 デルタ株の感染とエアコン 日本では9月に入りデルタ株の割合が減少しました(左)。その理由に関しては、専門家も頭をひねっているようです。その議論をしていた時に、和田さんが、「もしかしたらエアコンの稼働と関係があるかもしれない」と言い始めました。そこで、戎崎は東京の2021年の5月-9月の気温の変化を調べてみました(右:気象庁の公開データ)。2021年の6月上旬にセ氏30度を超える真夏日が始まりました。このころ、エアコンの冷房を入れ始めたと思います。その後一旦、最高気温が30度を切るようになります。関東の梅雨入りが6月14日ごろ…