2012年6月22日 / 最終更新日時 : 2023年5月4日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化 タバコネズミとその近縁種 スイスとイタリアの国境近くにあるポシアキボ谷とバルテリナ谷に黒い毛皮のネズミが生息することをFatioが発見して、1869年にタバコネズミと命名して報告した。Gropp et al. (1969)がその染色体型を調べたところ、7つの中央動原体染色体と6つの末端動原体染色体をもつ2n=26であることが分かった。野生種のイエネズミの染色体型は20個の末端動原体染色体からなる2n=40のである。これらは、北イタリア・東スイス群のひとつである。地中海・ヨーロッパには染色体型の変種は他にも存在している。タバコ…
2012年6月22日 / 最終更新日時 : 2023年5月4日 戎崎 俊一 種の起源と生物進化 破局進化によるヒトとチンパンジーの種分化 染色体種分化仮説においては、染色体の再配置が種分化を導くと仮定する(White 1978)。伝統的な染色体種分化仮説においては、染色体再配置領域における組み換えが、配偶子の遺伝子アンバランスをもたらし、雑種の適応度を下げて、繁殖バリアを作り種分化を導くと考えた。しかし、この説は、染色体再配置がその異型接合体の適応度をかなり下げるとするので、その再配置変異が、遺伝子グループ内で固定される確率は、遺伝子グループの有効個体数(Ne)がよほど小さくない限り(10かそれ以下)不可能であると批判されてきた。この…