真獣類の進化と大陸移動:Evolution of eutherian and continental drift

真獣類は、北方獣類(鯨偶蹄目、食肉目、奇蹄目、霊長目、齧歯目、ウサギ目など)、アフリカ獣類(海牛目、長鼻目など)、異節類(被甲目、有毛目など)の三大グループに分けられる(長谷川2011)。パンゲア超大陸が南方のゴンドワナと北方のローラシアに分裂(140Ma)した後で、ゴンドワナがアフリカと南アメリカに分裂(105Ma)したと考えられている。北方獣類はローラシア大陸で、アフリカ獣類はアフリカで、異節類は南アメリカに生存した獣類である。アフリカは分裂後、20Maにユーラシアと合体(20Ma)するまでは孤立し、南アメリカは北アメリカと合体(3Ma)するまでは孤立していたので、それぞれ独自の進化を遂げたとされている。ただし、それ以前も何らかの動物の大陸間移動は細々ながらあった可能性がある。

長鼻目(象の仲間)は、北アフリカで発達し、ユーラシアとアフリカの合体後、ユーラシアにわたって発展(マンモスなど)した。逆に、北方獣類が南下してアフリカに入り、そこで多様化を遂げた。東アフリカ地溝帯が形成が開始(12-10Ma)され、そこに広がるイネ科植物の草原に適応して、鯨偶蹄目が進化した。また、それらを食料とする食肉類(ネコ科、イヌ科)もそれを追って発達した。人類につながる真猿類の祖先は、何らかの手段で40Maごろに(ユーラシア合体前)アフリカに移住し、地溝帯付近で多様化していた。

1)長谷川政美、2011年、動物の起源と進化、八坂書房