鯨の起源と進化:Origin and Evolution of whales
インドヒュウスの骨格
鯨類は、およそ5000万年前のパキケトゥスまで遡ることができる(Thewissen et al. 2001)。初期の鯨類の化石は、北部インド・パキスタンで多く発見されている。当時、インド亜大陸はインド洋を北上中で、もう少しでアジアに到達するという時期だった。
Thewissen et al. (2007)は、鯨類が進化したと考えられているカシミール地方で生息していたインドヒュウスという偶蹄類が、鯨類の祖先に近いのではないかとの説を発表している。Geisler and Theodor (2009)は、インドヒュウスこそが鯨とカバをつなぐミッショングリンクとしている。ただし、議論は収束していない。
1) Thewissen, J.G.R. et al. 2001, Skeletons of terrestrial cetaceans and the relationship ofwhales to artiodactyls, nature, 413, 277-281.
2) Thewissen, J.G.R. et al. 2007, Whales originated from aquatic artiodactyls in the Eocene epoch of India, nature, 450, 1190-1194.
3) Geisler, J.H. and theodor, j.M., 2009, Hippopotamus and whale
phylogeny, Nature, 458, E1-4.
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