土壌中の燐酸: Phospahtes in soils

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土壌の酸性度(pH)によって、施肥された燐酸がどのような形態になるかが決まる(Bradey 1974、有原1999)。pH4-5の酸性土壌では、施肥によって増加した土壌溶液中の燐酸イオンのいくらかは、低pHで活性化したアルミニウムイオンや鉄イオンと化合して化合物を作り、沈殿して難溶性の塩に変化する(Mg、Al、Mnによる化学固定)。また、ゲータイトなどの金属水酸化物に静電気的に吸着されたり、粘土表面に直接取り込まれたりする特異吸着などによって固定される(Fe、Al、Mgの水和酸化物による固定)。pH5を超えると、徐々に燐酸の固定は少なくなるが、ケイ酸塩鉱物のアルミニウムや鉄と反応した燐酸が現れる(ケイ酸塩鉱物との反応)が、それと同時に比較的易溶性の燐酸塩が存在するようになる(易有効態隣酸塩)。pH7以上では再び難溶性の燐酸塩である燐酸カルシウムが主体になってゆく(燐酸カルシウムとしての固定)。

有原丈二1999、現代輪作の方法、農山漁村文化協会

Bradey, N. 1974, The nature and properties of soils, MacMillan Publishers.