宇宙デブリ除去のための実証実験を宇宙ステーションで行う
Ebisuzaki et al (2015)は、超広視野望遠鏡(EUSO)と新規な高効率ファーバーレーザーシステム(CAN)で構成された宇宙デブリ除去システムの段階的な実施方法を提案した。概念実証段階は、国際宇宙ステーション(ISS)で実施される。口径2.5mの屈折光学系を持ち±30度の視野を持つEUSO望遠鏡は、国際宇宙ステーションで超高エネルギー宇宙線観測のために運用されるよう設計されているが、ISS軌道近くの宇宙デブリを検出する目的にも使うことができる。さらに詳細な、トラッキングと除去は、EUSO望遠鏡と並んで設置されたCANレーザーシステムが行う。強いレーザー光をデブリに集中するとその表面からプラズマが噴出する。その反力を利用して減速し、再突入に導く。
実機モデルにおいては、100kmの距離から1-10cmの宇宙デブリを検出し除去することが可能である。これらは非常に多数(100万個程度)あるうえに地上からの観測ではとらえきれないので、最も危険とされている。技術実証は、次第にシステムを大きくしながら段階的に行う。まず、第一段階は、宇宙ステーションに設置予定のmini-EUSO望遠鏡で検出し、ISSに設置する100ファイバーCANレーザーで照射の技術実証を行う。第二段階では、実機スケールのEUSO望遠鏡とで10000本のファイバーを持つCANレーザーで、1-10cmの宇宙デブリ除去の実機実証を行う。最終段階では、高度800kmの極軌道に専用の宇宙機を打ち上げて、5年間の運用でこれらの軌道にある危険なデブリのほとんどを除去する。
Ebisuzaki, T. et al. 2015, Demonstration for the remedation of space debris from the International Sopace Station, Acta Astronautica, 112, 102-113.