被子植物の起源: Origin of Angiosperms

ファイル 50-1.jpg

中国のJehol層で見つかった白亜紀バレミアン期の被子植物の化石

化石記録は、被子植物が低緯度領域の起源であることを支持している(Barret and Willis 2001)。年代がよく決まった被子植物の中で最も早い化石は、バランジュ期(140-136Ma)のイスラエル、モロッコの地層に残っている。被子植物の胞子はより古いベリアス期(145-140Ma)からリビアで発見されているが、年代はあまり決まっていなくて、オーテリーブ期(136-130Ma)まで若いか可能性がある。オーテリーブ期の微粒子化石は、モロッコ、イギリス、そして多分中国で知られている。バレミアン期(130-125Ma)には、被子植物は広く広がったらしく、中央アフリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、そして中国に微粒子化石が存在する。

大型植物相は、微小化石に比べるとあまりわかっていない。中国のバレミアン期の地層(Yixian層の下部を含む)、ロシア、ポルトガルのバレミリアン期の地層から植物相が記載されている。中国のJehol層群(Yixian層)の化石は、非常に保存状態がよく、生態系全体(恐竜、鳥、昆虫、植物相)の様相をよく伝えている。その年齢は、一時、ジュラ紀に遡る可能性が指摘されていたが(Sun et al. 1998)、詳細な再解析の結果、白亜紀初期のバレミアン期のものであることがわかった(Zhou et al. 2003)。

北アフリカ・地中海東部にもっとも初期の化石記録が分布することから、被子植物は北部ゴンドワナに起源があるのと示唆される。白亜紀初期の間、この領域は古赤道と北緯25度の間にあった。中国は被子植物の二次拡散の中心地だったのかもしれない(Zhouet al. 2003)。実際、現生の被子植物の多様性と分布による生物発生学的な考察からは、南東アジアが被子植物の拡散の中心であったことが示唆される。

1) Barrett, P.M. & Willis, K.J. 2001. Did dinosaurs invent flowers-Dinosaur-angiosperm coevolution revisited, Biol. Rev. 76: 411-447.

2) Sun, G. et al. 1998, A Jurassic Angiosperm, Archaefructus, from Northeast China, Nature, 282, 1692-1695.

3) Zhou, Z., Barrett, P.M., and Hilton, J., 2003, An exceptionally preserved Lower Cretaceous ecosystem, Nature, 421, 807-814.