生命進化の統一理論:超新星、放射性火山灰降下、ゲノム不安定、大絶滅による進化

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大災害による生命進化の一般的な理論的な枠組みを提案する。その枠組みは、ダーウィンの系統漸進説、エルドリッジ・グールドの断続平衡説を包含し、さらに、大絶滅による大進化、そして異所性、側所性、同所性種分化の理論を包含している。それは、超新星遭遇による全球的大災害、もしくは大陸性アルカリ火山による放射性の火山灰降下による局所的大災害によって、種同士の生殖隔離が、どのように確立するかを記述している。

この新しい進化モデルは、大災害によって強制された種分化が、高い放射線レベルによる高い染色体変異率、小さな個体数、そして、生息域の収縮による孤立、の3つの要因で駆動されることを指摘している。半孤立したグループの母集団からの種分化を記述する簡単な数値モデルを構築し、種分化に必要な世代数を評価した。それは観察例から得られる値と整合的である。例えば、変異率が1個体あたり1世代あたり千分の一から十万分の一と小さい場合は、種分化には少なくとも10万世代かかる。しかし、それが0.1近くまで大きいと、側所的な場合に、それよりもずっと早く千世代くらいで種分化する。さらに、変異率が1個体あたり1世代あたり1近くまで大きくて、有効個体数が20-30位まで少ないと、同所的であっても、種分化が起きる。

超新星遭遇による全球的な大災害や放射性火山灰降下による局所的な大災害時は、高い放射線レベルのために、染色体変異率が非常に高くなる。このような、急速な種分化は、カンブリアの生命多様性の大進化のような大絶滅に伴う大進化も説明する。同じような急速な進化は、小規模ではあるが、現在のアフリカ大地溝帯におけるシクリッドや人類を含む大型類人猿の進化に見られる。これらは、大陸性アルカリ火山による放射性火山灰降下によるものと考えられる。

1) Ebisuzaki, T. and Maruyama, S., United theory of biological evolution: Disaster-forced evolution through Supernova, radioactive ash fall-outs, genome instability, and mass extinctionsGeoscience Frontiers, 6, 103–119.