小惑星の化学組成分布から探る太陽系の進化:Solar System evolution from compositional mapping of the asteroid belt

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DeMeo and Carry (2014)は、さまざまな型の小惑星の分布をそのサイズと太陽からの平均距離について調べてみた。最近になり、5km-1000kmにわたる小惑星の個々のスペクトルが測定されて分類が進んだ。小惑星は、表面が高温による変成を受けて揮発成分を失った「赤い」ものとあまりそれを受けていない「青い」ものに大きく分けられる。これまで、赤い小惑星は太陽に近い方に多く、青い小惑星は遠い方に多いと漠然と思われてきた。

今回の詳細な検討の結果、かなりの数の青い小惑星が内帯に(2.0-2.5AU)、かなりの数の赤い小惑星も外帯(2.8-3.3AU)にあることが分かった。ただし、全体として、外側に行くにしたがって青い小惑星の割合が増え(内側に行くにしたがって赤い小惑星が増える)傾向はは確かにあり、最も外側にあるヒルダ群(3.9-4.0AU)とトロヤ群(5.2AU付近)は、ほとんどすべて青い小惑星からなっている。

これらの小惑星の分布は、惑星形成の理論に強い制約を与えると考えられる。

1) DeMeo, F.E. and Carry, B. 2014, Solar System evolution from
compositional mapping of the asteroid belt, Nature, 505, 629-634.