2018年10月24日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 科学論 ジェラール・ムルー氏のノーベル物理学賞受賞を祝う 今秋、ジェラルド・ムルー氏がノーベル物理学賞を受賞された。受賞理由は、レーザーのチャープパルス増幅法の発明である。この手法を使うことにより、レーザーパルスの継続時間を圧縮し、高強度(ペタワット=10の15乗ワット)を作ることが可能になった。 ペタワットの強度の実現は、レーザー航跡場加速に道を開いた。ペタワットレーザーパルスの中の電子は、レーザーの横向き電場による運動が相対論的に、つまり速度がほぼ光速になる。このことによる非線形効果のために、高強度パルスがプラズマ中を伝搬すると、強い航跡場がその周りに…