2018年8月24日 / 最終更新日時 : 2023年8月9日 戎崎 俊一 科学論 伊能忠敬の挑戦 伊能忠敬は1795年に佐原から江戸に出て幕府天文方の高橋至時に入門し、天文学を本格的に始めた。当時彼は50歳だった。測量においては天測が重要である。例えば、現在のカーナビはGPS衛星を「天測」して自分の位置を割り出す。天文学と測量学、そして暦学は本来一体のものである。至時らは、最新の天体力学理論を考慮した「寛政暦」を1797年に完成させるが、さらに精度の高い暦を作るためには、地球の半径を知る必要があることに気づいた。例えば、地球の半径は子午線1度の弧長から計算できるが、当時日本で知られていた値には1…