秘境西域八年の潜航上中下 西川一三著
昭和18年日中戦争時に、工作員として厳重な鎖国政策を取るチベットにラマ僧侶として潜入。あらゆる困難を超えて目的のラサへの潜入に成功する。日本敗戦のうわさを聞き、確認のために、ヒマラヤを超えインドへ。日本敗戦を確認の後、志してラマ教の修行とチベット語の勉強のために、ラサのレボン寺に入門し厳しい修行の日々を送る。その後、中国西康省探検の後、再びインドへ。今度はラマ僧として仏陀の旧跡を辿る巡礼の旅を続ける。この巡礼の旅は、玄奘の「大唐西域記」をなぞる様相を呈する。各地の風土特に、ラマ僧と人々の暮らしの記録は詳細である。その文明批評は一読の価値がある。チベット政府の問題点への指摘は鋭い。西川氏の旅行の直後、チベットは中国に併呑され、チベット主権者であったダライラマは、インドに亡命して現在に至っている。