イブン・ハルドゥーン著「歴史序説3」

この巻はビジネス論と学問論前半。いくつか抜き書きする。極めて実践的。きっとイスラム精神の神髄が含まれているのだろう。

「能力がないが信頼できる人」と「能力はあるが信頼できない人」しかいない場合、どちらを雇う方が好ましいか?いずれもそれぞれ利点はあるが、結局は信頼できないが能力がある人を雇う方がよい。能力の点では損害を被ることはなかろうと期待できるし不実については、できるだけ注意して防ぐことができる。

最も良い教育法は算術から始めるべきである、なぜなら、これは明晰な知識と組織的な証明に関係するからで、一般に、それは正しい方法に裏打ちされた、ひらめきのある知性を生みだすものである。人生の初期によく計算の勉強をした人は概して誠実な人になるといわれている。それというのも計算の中には、正しい基礎と自己訓練が含まれているからで、そうした事柄がその人の特性となり、その人は誠実に慣れ、それがしっかりと身につくようになるのである。

われわれの師はよくこう言っていた。幾何学は、ちょうど石鹸が着物に作用するように、心に対して作用する。石鹸は汚れを洗い流し、着物の脂や垢をきれいにするものである。幾何学がそのような石鹸であるのは、前に述べたように、それがきちんとした秩序正しい体系を持つものだからである。

それにしても、すべての法律が立法者=ムハンムド(預言者)の言説からすべての法律が導きだされなければならないとは大変だ。イスラムの意味が少しわかった気がする。